第240話 後後115 エナジー抜きどりんく


宿の一階食堂。


「それでは、試飲を始めます。」ガク


何の?と思うだろう。そりゃ勿論唐辛子ドリンクだよ唐辛子ドリンク。

前回魔法使いAが「エナジードリンク」と言ったが、俺らが目指すのはどっちかというとエナジーを奪う方向だからね。

サイカプシンドリンクになった。

少量の水で唐辛子を煮込んで柔らかくなったらOk。エキスがかなり抜けている。

その柔らかくなった唐辛子自体は捨てず、他に使いまわす。


煮込んだ水は、、からいかなぁ、、、ぶくぶくぶく、、ごくごく、、うん、まずい、つか、、、味ねーし、、

あ、汗出てきそう、、辛いのに慣れてるんで出ないね、、

なので、若手の一番脂肪分ありそうな子にコップ一杯ほどの混ぜる。

まずいよー、とか言うが完飲。少々まちます。あ、汗でてきた?


「おう、、そう言えば、武国の白酒(安っすい醸造酒)に唐辛子沈めといて、唐辛子の色がなくなった頃飲んだんだが、、味なかったな、、でも少し汗出たくらい。辛くなかったがな。」

と、意外なことを言う泉さん。

へぇ?そんなことしないと思ってたけど、、、、実験好きなのかな?


「うまいかも、と思ったんだがな、、」

食い気ならず飲み気か、、、


ふーん、といいながら手を動かしているシューレ。

砂糖少々、酸っぱい柑橘系の汁(レモン汁みたいな)、塩、を入れてかき混ぜている。

「あ、スポド、、、」俺

「なんだ?知っているのか?こういうの、」シューレ

「ええ、まぁ元の世界にありました。運動してるときに飲むの。」

「・・・そうだな、そういうときにもいいかもな、、」


確かに、デブリンが運動して汗流して、、更にこれはサイカプシンチート付きなのだから効果的だろう。


もいちど先程の若手に飲ませる。

「お!うまいっす!」とごくごくごくごく飲む、

そーだからおまえはぽっちゃりさん! ほどほどを知ろうね。


ま、こんなもんか、、と、俺らに大量に作らせるシューレ大首領様。

もう食堂の1/3借り切り状態だよ?

入れ物は一升瓶。小瓶は無いからね。


ちょっと出てくる、と、空き瓶を持ってシューレは外に出ていく。

小半時ほどで戻ってきたシューレ。瓶は、おしゃれ?なポーチみたいのに包まれ、肩に掛けられている。

「ほう、、なかなか、よさそうだな?」、、途中から、自分にはでかすぎて、、とかわかったのだろう泉さん。


小学校2ねん3ねん?くらいの平均体格の子にはきびしいよね?いや、中1くらいでも一番前の子だとそのくらいの子もいるかもしれないけど!悪かったよ、、いーじゃんちっさいんだから、、睨まないでよー

勝手に心読むのが悪いのに、、、


全くいつの間にそんなチート、、、って、随分前から読まれてた気がする、、、少なくとも農国旅中には、、

ケーキに因って開花したのだろうか?! ぷw


「おい、そこの給仕のにいちゃん、こっちゃこい。」首領様、若い子ビビらせるのやめようね?


「お前にコレを授ける。毎日飲むように。無くなったら言え、追加をやる。体重が半分になるまで続けるように」

とシューレが、そのポーチに入れた満タンの一升瓶を押し付ける。


「・・・・え?、、これ?で?痩せる??ん?ですか????」

「ああ、こう見えても、このお方は大妖精シューレ様だ。嘘は言わん。あのマクベスに聞いてみろ」俺

「マクベス?なんで?」

「あんのあほ、、あいつも妖精なんだよ、、こっちを担当している。」俺


へぇ?で?みたいな目で見るなよ。


ほい、っとな、、とシューレがそのデブニーを浮かばせる。わたわたして手足をばたつかせる給仕デブニー。いっぱいいたらデブニーランドになるよね!

「おまえ、名は?」訊くシューレ

「ブニー二です!おろして!!」

ぷ!となってブニー二の言葉など聞いていない全員っ!!!


転げ回ってるのはいくらなんでも失礼ですよ全員!!!と思いながらも耐えられず体を折るガク。

ぶー!!が過ぎで体内の酸素不足も甚だしいのだ!!


ほどなく、皆はぁはぁいいながら我を取り戻し、、でも浮かんでまだ手足をばたばたさせているブニー二が視界に入ると「ぶーーーーー!!!」とか始まり、なんか、エンドレス?


気づくと、俺達の下もよだれと涙で濡れているが、ブニー二の下もすごい!!本体を見ると、汗みどろである!!


「これはすごいダイエット運動じゃないですかっつ!!!」俺

「だいえっと?誰だ?」

ああ、たしかに人名、女性名みたいだよね、、、


「えと、痩身の意味です。痩身運動、、とでも言い換えますかね」

「うん、そうだな、、これほど、、、ぶーーーっつ!!!!」

ぶーっつ!!!!う、伝染るから、や、やめて、シューレ!!!


結局最初から小半時ほど経って降ろされたブニー二、、床に立ったら、、

「あれ?軽い、かも?」と、ぽつりとこぼす、、

まじ?


「サイカプZ無しで?!!」俺

「なんだそのサイカプZって、、」泉&シューレ

「あの唐辛子飲料の名前です。かっこいいでしょ?」

「・・・・・まあいいか、、」

シューレが認めたかっこよさっつ!!

「・・・」


だってブイと5って、ローマ数字だと一緒なんでどっちかわからんでしょ?

ってこっちローマ数字無いけどw


なので、次はブニー二にサイカプZを、、”ブニー二に”っていいにくい、、、100回言ったら脳の半分は占領されるな、、一升瓶の半分を飲ませて、浮かばせた。

また、手足をばたつかせてどーにかしようとしている。もう、あの態勢のときの、なんだろう、本能的な動きなのだろうか?

本人も意識せずともかってにやっているようで、、


半時放置のシューレ、、

ブニー二、頬がなんかコケてきていないか?

「シューレさん?彼、消耗が激しく見えるんですけど、、」俺

あ?

「あ、、わるいわるい、、まあ、、こんなもんだろう、、」シューレ


床に降ろされたブニー二は立つ力も残っていない様子で、、泣いている、、しくしくしくしく、と、、、

「おまえ、、どっかで、、そうだな、銭湯行って鏡見てきな、、」俺

ほれ、と銭湯行って湯に浸かるくらいのカロリー分のある串焼きを手渡す。

もごもごと頬張りながら、外に出ていくブニー二。


「大成功だな?」泉さん、よだれと涙で服がぐしゃぐしゃですよ?

「おまえもな?」泉さん


図らずとも実験台に身を挺してくれたブニー二。初代モル!

その名は、この、、、、この、、、、、この名の知らぬ国に伝説として残るかも知れない!!


ブニー二ーーーー!!!

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