第210話 後後85 パヴァーヌ


翌朝ご飯食べてから

「ごちそーさまでした。村に帰ります。笛、ありがたく借りていきます!」

と、とっとと立ち去ろうと俺。


「んじゃ、進展があったら呼ぶから、逃げずに来てな?」領主様

「へーい、、わかりましたっすうー」


帰りは馬の上で笛を練習しながら帰ってきた、つーか、曲を思い出しながら吹きながら帰ってきた。

ゆっくりなら手放しでも乗れるのだ♪なにせ西じゃ寝ながら乗ってたからな!w


笛と訊いた時、ネットで拾った香港の奏者のがもんのすげー美しい音色だったのを思い出して「ホンモノ借りたい」と思ったのだ。音のベースにもなるしね。


が、しかし、この笛もいいものなのだろーが、いかんせん奏者が俺だとまた違うようだ、、仕方ないね!w


おもろかしい曲でもやって子どもたちに喜ばれりゃいいかな?w



自分の家に戻って笛を置いて、森に竹を刈りに行く。

ったって、孟宗だけみたいのはここのすぐ側には無い。最初に俺を拾ってくれたおっちゃんち付近にまで行かねばないのだ。

そんな太いのいらないし、、

近場の笹か竹かどっちだろー、みたいな細めの竹?小太りの笹?みたいなのを刈ってくる。フシが長めなやつ。


で、50センチから1mくらい、てきとーに切って、乾燥小屋のはしのほうに吊るしてみた。反(そ)ないかな?大丈夫かな?

やってみるしかないねー。



あとは、乾燥終わってからだからやることない。10日くらいたったら様子見よう。

なので暇だからシューレの店。その前に部屋よって笛持ってきた。


「やっほー、やっぱ居た。」夕飯時である。小腹が空いて晩メシ前にいっぱいやってないわけがない泉さん。

「おー、帰ったか。」

「はい、笛借りてきました。」

「作るんじゃないのか?」

「作るけど、基礎になる音がほしかったんで」

ふーん、、とさほど気にもされない


生徒の新作だという鯵安倍川焼き。

臭いがまずだめ、、口に入れた途端、、なか得体の知れない風味が、たぶん、これなかなか口からとれないんじゃないかな、、、で、かじると、、もうそのはーもにーというかあんこと鯵のひもののあまさと塩気とそれぞれの香りや臭いが徹底的に反発し合って喧嘩して大戦闘になっている、、、

名前が悪かったんじゃねーの?鯵はいいとして、、

腐った動物の死骸のほうがまだ食えそう、、、


「いずみさん、シューレは、どーしてこーゆーのを許すんでしょうか?ね?」

「おう!訊いてみたぞ!」

しょっちゅうやってるんかい、、


「良いものを作る時は悪いものも知っとくのが良いそうだ。」

あー、悪人とかクズとか腐ったやつを知らなければ、善意とか善人とかあたりまえだと思っちゃうからね!


「で、俺ら、味見係だろ?」

そーだったね、忘れてたけど、、

「こーいうのも、そのお仕事、だと言われた」

そーですか、、そーですね、、


「で、作った本人達も味見してるんですよね?」

「当然だ。最初の頃は泣き出したらしいぞ?」

当然だばかやろう!!


味音痴は、なんか武国の仕様みたいな気がする、、、


シューレ、大変なんじゃないか?


「おう!来たな!なんだか楽器を始めるとか訊いたぞ!」シューレ

元気である。全く落ち込んでない、、なぜに?


「ねぇシューレ、、味音痴じゃない?ここの人たち、、」俺

「ああ!すんげーな!知れば知るほどこっちの者達はすげーなっつ!!!」

喜んでいる件っ!!!


「で、なぜ、そんなに喜んでるんですかね?おじさんにそこんとこをよーく詳しく説明してほしーんですが?」俺

「あっはっは!そんなの決まっているじゃないか!!これほど出来の悪い生徒たちしかいないなんて、コレまでの数千年高なんだかしらんが、人生の中で初めてなんだぞっ!!!

初めてだっ!!!

そらー、清々しくも、楽しくも、期待でいっぱいにもなるよなああ!!」

・・・・

「どっちの期待、だ?」泉さん、ぶっこむ!


「うーん、、、どっちでも、いいかな?」シューレ


流石妖精、しかも大妖精である!!!もう、最初っからどーでもいい、面白いからやってみてるだけっつ!!!

ってことの意味しかない言葉を普通に言いのけるっ!!!


あ、なんか、厨房内でシクシク言っているけど、、スルーすべきことだろう、、お前らが悪い。


「で、ガク、おまえのほうは?楽器とか、作るところからだろ?」

泉さん詳しく話してるようです。


「まぁ、竹は取ってきて乾燥小屋に入れたんで、待つしか無いし、その間、この、、

じゃーん!

領主様に借りた笛で練習しようかなー、と。」


よこせ、とシューレが取り上げた、

あああ、と俺が手を出すが、向こうにやって取らせない


「ま、聞け」

シューレが吹き始める。

・・・・

亡き王女のためのパヴァーヌだ、、、

木管でもいいもんだな、、


少しの間聞き惚れる、厨房からも物音しなくなっていた。


終わった

俺、大拍手!皆も!


「すげーシューレ!すごウマ!!すんばらしい!あの曲知ってたのも不思議だがっ!」

「あー、むかーしむかしな、外来に教えてもらった」

まぁ、、だよね


しかも、ぎりぎりか!っていうほどゆっくり奏でるところはそうして、、っていう、今時(元の世界)ではぜってー誰もしないできないことをやってるし!!

これが妖精力かっつ!!!w



「おまえも・

「無理!」

泉さんが余計なことを言い出しそうなったんで却下!


まぁ、、

音楽がこの世界に増えるってのは、良いことだよなー。

楽器なら、好きになった者ならば、機会が与えられれば精進しそうだしねー。


もともと音楽ってのは、神へ捧げるものだった、って聞いたことがある。


「流石大妖精だなー、元々、音楽ってのは神に捧げるものだと言うじゃないですか」

とシューレに言うと、、


微妙な顔された?

え?


なんか、捧げるの?えー?、、みたいな?


まぁ、、シューレに神との関わりについて訊くと、またなんかんなりそうなんでスルーが吉と見た。



「というわけで、料理も音楽も似たようなもんだ。皆も頑張れ!!」


とか言われると、厨房の連中複雑な顔。

音痴なのかも知れない?


調和が重要ってことなんだろうけどねー。


そんなこんなで今日も一日が終わる。

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