第156話 後後31 南部港の商会支店


朝食は宿で取った。夜釣ったいかの刺し身があるというのでそれで。

イカは捌くまで生け簀に入れておいたらしく、身は透き通って、、、


「初めて食った、こんなの。うまいっすね、、、こんな新鮮なの食べたことあります?」

「ああ、、どこだったか、阿波か伊豆か?遠出した時、釣って食ったおぼえがあるぞ。確かにこれくらい美味かったと思う」

「へぇ、、俺初めて、こんなの」

「北へ登っちゃ、もう食えんからな、よかったな」


「魚だったら、あの海で取ったのを食べた時、あれは刺し身も美味かったけど、焼いても美味かったっすよねぇ、、。新鮮だと何しても美味いんですかねー」

「だろうなぁ、、ま、何にせよ、ここで新鮮な海の幸を食いまくるぞ!」

「うすっ!!」




食事が終わったら、いい時間だった。なので、まず商会探しに行こうと、一応宿の者に「東武商会」ってのが最近出来なかったか聞いた。

知っていた。


あれー?なぜ?

「あれじゃないか?ほれ、ここはもう武国内なんで、東武っつーだけで気にされるんじゃないか?」

「あー、、、、なんか国内では目立ってるそうだから?目の敵にされているから?」

「まぁ、、だな。いろいろ。」


まぁいいや、と、

宿を出て聞いた方向に向かった。

で、

すぐに見つかった。

入って、名乗って、支配人に取継を頼んだら、すぐ側に居た。


「もうそろそろいらっしゃるかと、、」

・・・・・・・

(ここまでくると、怖いものがあるな、、)泉さん

(ええ、福田さんに逆らわないほうがいいかもww)


(でも、もしかしたら昨日からこーやって待ってたり、、)

(その手があったか、、、それはそれで怖いぞ?)


かなり小声で言ったつもりだが、、、

なんか支配人の態度がぎこちなくなった。

泉さんの最後の方の「怖いぞ」がぐさっときたのかな?


ーー


支配人室に案内され、席に付いたらすぐに泉さんが先に切り出した。

「早速で悪いが、各国との軍事関係の現状を知りたい。」


「はい、こちらに、、」

と、支配人はテーブルに紙を広げた。

相関図様になっている。関係者も記載されている。

わざわざ紙に書いたのは、わかりやすくするためなのかな?

それとも、聞き耳を恐れてなのかな?

現時点では、西の国に対しての重要機密ではあるからね。

しかもここは外国人が多い港町。


泉さんはそれをじっくり見て、納得したように頷いた。

支配人は、それを側の火鉢の上で燃やした。


各国に転移門が設置済み。武国から軍事顧問が行っているところ、部隊が武国に研修に来ているところ、なども記載があった。これからの予定も。セルゲイチーム、来る様だ。


それからいろいろ聞いた。

福田さんは、遠征から帰ってきたら結婚予定。

戦艦は最後の3隻が航行試験中。

泉さんと俺は先陣に入っている。小館隊、いずみ隊も。

軍港までの主要街道は道が整備された。

農国と一般技術提携をしたこと。他国も興味を持っていること。

人材交流に関しても、各国担当が集まる話が進んでいる。転移門があるので、いろいろ動きは活発。

他、遠征に関しては領地に帰国してから領主様にお尋ねください。


などであった。

「転移門を動かすための魔法使いは、どっかから借りられてるのか?」

「はい、農国や日のいずる国が提供を申し出てくれています。」


転移門を動かすには強い魔力が必要と聞いており、これだけの国の多数の転移門と行き来となると、結構な魔力持ちの魔法を使える者が多く必要に成る。無駄には使わないが、ケチケチ使っていては意味がないのだから。


「勿論ここにも作ろうとかしているんだろう?」泉さん

・・・・・

「はぁ、、一応、そういう話もでましたが、、余力ができたら、ということになっています。”それまでは街道整備して王都まで行き来しやすくしてやるから”と。おかげでかなり道がよくなりましたけどね。

あと、河川の運河としての利用がかなり多くなって、、便利ですよ。」


「遡上もできるのか?」

「場所によります。多くはないです。また、帆を利用するので、不定期的です。あったらツイていた、みたいに思っているほうがいいですね」

「なるほどな、、まぁ、、、」


そうかー、、仕方がないか、遡上用のレール作ってもらい、船台車に船を乗せて数頭建てで牽かせるもの考えてみるか。

支配人に場所を提供してもらい、紙と筆も借りた。

数時間こもる。

川船はそんなにでかくない。細長いのが一般的。10人乗り程度のモノが多い。

なので、台車にでかいベアリングを付ければさほど馬に負担かからず川上に曳いていけるだろう。

昔の日本の渓流とかでは、なんか人夫達が担いで山を登ったとかいう話も聞いたことあるし。それよりまずっと楽でマシだろうと思う。


川がないところでは線路馬車として、上下2本曳いて使えることもおまけとして書いた。

早く、静か、馬が楽、がメリットと成る。


「簡単なものですが、、無いよりいいかも。」まぁ、俺だったら採用しない?うん、不出来w。まぁそこから誰かが良い案出してくれりゃいいかな?って所だね!。

と思いながら支配人と泉さんに見せた。


「何か気づくことあったら言ってください。改良出来る部分はしてみます。」

「帆を付けたら、場合によっては楽だな」泉さん

図面を付け足す。台車の後側に取付可能の帆の図面。

大体でいいのだ。福田さんのところでやり直してくれるだろう。

で、後は何も出ないので、それを福田さんのところに送ってもらった。小さな転移陣で。


「お疲れ、んじゃ刺し身食べに行くぞ!」泉さん

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る