第80話 後−7 ゴルダの街である意味有名人化


なので、その翌日の今日も喫茶店めぐりのケーキ放題。


おおまかなのは変わらないんだけど、スポンジ部分やクリーム自体、当然トッピングが、各店の作る人の好みと個性が大きく出ている。量産ものの無い世界なので、「これはこーなんだ!」とかいうステロタイプ(ステレオタイプ)がほぼ存在しない。


昔、お菓子やケーキの本場の欧州と日本のダブルの友人(あっちでの唯一の友人だったかなw)が、日本のショートケーキはうまくてキレイだけど、どこでも全く同じなのが変過ぎ。と言っていたのが思い出された。


こっちの各店の個性豊かさにくらべれば(多分、彼の言い分から欧州もここと似ている?)、俺の元の世界でのケーキ屋の商品は、ほぼどこでも同じようなものだった。流石にパン屋のケーキ(やまざ*とかw)は遠慮しまーだったが。


武国と農国を比べると、なんか農国が俺の元の世界の日本のルーツ(昭和とか?)に近い感じで親近感覚えるよ。勿論泉さんにはそういう感覚ないだろうけど、江戸末期の人だから。

着るもの、食い物、生活の環境、が、昔(昭和?)の日本みたいな農国。


なので、実は俺には居心地が格段に良い。

泉さんには食い物での居心地が格段に良い。


「あれだな、、帰れなくなるな、、」俺


「あ?うますぎか?」泉


「まー、そういうことでもあるかな?」


「だよなぁ、、もぐもぐもぐ・・・」


ーー


ホットケーキが得意な店に来ている。

ケーキ自体もいろいろな味あがり、それに合わせた詰物やクリーム、トッピング。


泉さんは抹茶。ケーキが抹茶味で、小豆をクリームに混入させたものを間に。スライス甘栗、スライスさつまいも、薄い白玉などが挟んである。トッピングはピュアクリームとスライス桃と小さくひと絞りの紅茶クリームが5つ。


俺のはスタンダード。

王道のホットケーキ。バターが上にのり、蜂蜜がかかっている。こっちの蜂蜜は本物なので匂いも強いが、味が半端なく美味い。なのでこれで十分最高にうまい。まぁ小麦も「あれ?これが本物の小麦なんだ?」くらいに違うからな。ケーキ部分だけでも全部まるっと食えるほど美味いし。


あれだ、オーウトとかで食ったチャパティも、今思えば小麦がこっちのだから、、

いや、素材、全部ちがうよな、、こっちの世界のって、全く違うのか?それとも元の世界でも泉さんの頃くらいまではこのくらいの旨さがあったのかもなー。


こっちに来なけりゃ、旨いものをしらずに一生送るとこだったわ、、あ?向こうじゃ一生終わってたっけw?そんな記憶ないけどww



俺はそれでお腹いっぱいだが、

泉さんは

「食事代わりだ」

と、

「チーズとソーセージとほうれん草のパンケーキ、それと、きのことベーコンのパンケーキ包み」

・・・・

いや、うまそうだけどさ、、泉さんだから食い切った上に、更に甘いケーキを追加するんだろーけどさあ、、


まじ見ているだけでお腹いっぱいどころか胸焼けだよなぁ、、


ちなみに、チーズと・・のやつのパンケーキ部分はホットケーキと違ってもろパンケーキ。薄く固め。ナンそのものに米粉を少量加えて柔らかくしたような?

きのこ包みの生地のほうは、チャパティよりも薄く柔らかく、米粉はいれていないなこれ。でも何使って柔らかくしてるんだ?口当たりはチャパティみたいな良い硬さと歯ごたえ。(一口だけ食わせてくれた泉さん)

冷えたらどうなんだろう?

半日くらいなら弁当にしてもいいかもなー。



んな感じで、

一軒の滞在時間は長くなる。

他の客もゆったりしているんで滞在時間長いけどね。


朝から出て、午前1軒、午後に無理して2軒、夜に1軒がやっとだろう。

でも一回でメニュー制覇できるはずもなく、何度も行くことに。なれたら「特別に」ってメニュー外も作ってくれたりするんで、やっぱここでもエンドレスに陥っている。



小さな街なので、5日もすると、

「おお、泉ー、おはよー」とか、道でお店の子達や店主などに声を掛けられている。


”農国人でさえ青くなるケーキ好き”

やら、

”ケーキ魔天使”、天使のようにかわいいが、ケーキに関しては魔物並。

”武国のケーキ魔娘”

など、いろいろ呼び名が、そこここで勝手に生えてきている。


”食い物蒐集人”

”専用試食人”

”食い尽くし娘”

など、けっこうダイレクトなのもある。


それらの名で呼ばれても、泉さんは喜んで返事している。

幸せなんだろうなぁ、、、



当分、ここゴルダの街を離れなさそう、、、

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