第77話 後−4 ゴルダの街。秋。


翌朝

泉さんを起こして一緒に朝食をとる。

朝飯食ったらまた寝ていいですから、と無理やり起こしてきた。

食事をしたらはっきり目覚めたらしく、

「ほら、ケーキ食いに行くぞ。」と。


宿の亭主に市場の場所を聞き、そっち方面に歩いていく。

メインの通りも聞いたので、それと並行する裏通りを通っていく。

ちなみに、この街には「特にこれといって面白いって場所は聞かないなぁ」と御者達、とのこと。昨晩泉さんが一緒に飲んだときの話。


この裏通りはやはり当たりで、住人達の生活のための店が並んでいる。

ただ、食堂と喫茶店がわかれていない、というのは他の街と同じ。表通りにはでかくいかにも高級そうなお店は一つはある。それなりの大きさの街ならどこでもそうだ。「特別な日に利用するんだよ」とのこと。結婚記念日とか、誕生日とか、デートで奮発し求婚する時にとか、勲章を貰ったとか、結婚披露宴が家ではできない一家が披露宴に使うとか、そういった時に。

なので、満員ってのはあまりない様子。



「ここまで見てきた土地に、乞食とかいなかったっすねー」俺

「スラムもなかったな」泉さん

・・

「いい国なんでしょうね」

「ああ、感じる限り、良い国だ」

見る限りと言わず”感じる”というところが、泉さんらしく、、剣豪らしい、ところか。



何も言わずに見つけた喫茶店にさも自然な感じで当たり前のように入っていく泉さん。

ここも近くに来てよく見なければ喫茶店だとわからんなぁ、、よく見つけるなあの人、、、

嗅覚かね?


「匂いだ。コーヒーの匂いが一番わかり易い。あとバターと砂糖の匂いだな」

「え?声出してました俺?」

「いんや?でもそう思ってたろ、、」

わかりやすい顔とよく言われたが、、、

そこまでわかるもんなのかな?俺の顔?



店内はこれまた年季の入った、落ち着きそうな、、、つか根付きそうな、、

お、、音楽かかっている、、蓄音機がある店なんか初めてだなー


「俺は鶏肉と野菜のねじねじパスタ、クリームスープで。食後のケーキはあとで見に行く。」

「では、、なににしようかな、、あ、、うどんがあるよ泉さん、、、」

「え?何うどん?」

「カレーうどん」

「・・・・・なんか、まずそう?」

「いや、うまいんだって、向こうでよく食ってた、学校で」

「・・そうか?んじゃ学が注文して分けてくれ」


案の定一口食べて、全部取られたw


なので、きのことベーコンの焼きうどんを注文。

で、これも取られた。

一体どこに入るんだ?


ラザニアを注文し、やっと食えた。泉さんはラザニアあまりすきではないのかな?

「腹いっぱいだから。あとはケーキを淹れる場所しか無い」泉


先に食い終えた泉さんは、いそいそとケーキのカウンターに行き、2個注文。それと紅茶。


ソレ見て俺はまだ腹半分もいっていないはずなのに、もうくちくなってきた気がした。



ま、ケーキやカレーやパスタを食っているときは、幼児というか子供そのものになっているんが可愛いからな。

武国ではそんな姿見たことなかったからなぁ、、肴と酒とか見るからにおっさんだし。



一息ついたら腹ごなしに市場に。


ぶらぶら歩いていると、この街はでかい建物が殆ど無いことがわかる。

だから、空が広い。先日までスタリッツアにいたから特にそう感じるのか。


澄んだ空。上空に雲ひとつ無いのはよほど上空の風が強いのか。標高はスタリッツアに比べて少し高くなている。

北側少し遠くに山脈が見える。

北ルートをとったら、あの向こう側を進むんだろうな、、なんか、寒そー、、。

ゴルダの街は、この街の秋は、スッキリしていて寒くも無く、、気持ちが良い。

秋雨とかあるのかな?あったらいやだな?


「泉さん、、ここって秋雨とかあるんですかねー?」

「うん?スタリッツアの武官は、秋はいい天気が続くって言っていたぞ?」

内陸だからかな?

北に山脈あるから防壁になっているのかな?


「んじゃ、雪は?」

「なんか北の山向こうではどか雪ってたなー。でもスタリッツアやここいらや、北の国あたりはどか雪まではいかないらしい。駅馬車は冬も走っているらしいからなー。」

「冬はソリになるんですかね?」

「どーだろ?尻にはよさそうだなソリのほうが」

「静かそうだし」



市場は盛況だ。街の具合がよくわかる。



この市場は、鹿肉がうまかった。とてもうまかった!馬じゃなく鹿だが!

「今が季節だからねー」とのこと。

「カレーにしたらどうかな?」

「うーん、炙り焼きにしてから入れるんなら、うまいかもなー。最初から煮込むならヤギのほうが美味いと思うぞ?」と串焼きのおっちゃん。


で、炙り焼き6本買った。今食うように1本ずつ。カレーにいれるのに2本ずつ。


カレー屋探す。

匂いで探さねばならないので、泉さんの出番だ!!

「さあ泉さん!カレー屋を探してください!!その嗅覚チートで!!」

いぬじゃねーんだがなぁ、、とか言いながら、美味い食い物のためには努力するおっさん少女。

農国に入ってから、結構でかくなってきてない?食った分育ってきてない?

身長140,150くらいになってんじゃね?

「関節が痛い」とか言っていないよね?身長激伸びのときは痛くなるんだけど、、、



ここだ、、


泉さんが指し示すものは、


でかい犬小屋?

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