第62話 中−28 寒い国だけある、ボイラーまであったわ!技術オタク談義とバタークッキー


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プスコから王都方面への街道は敷石が敷き詰められた幅の広い道である。

音がうるさいけどね。

でもやっぱ距離の割には早く着けるようだ。

特に降雪があるので、下に砂利を埋めたりして霜にも負けないようにしてるしっかりとした道だと。

昔は、人通りが多いこの街道は春先にはものすごいことになっていたとのこと。



王都方向に行くに連れ、また少しづつ標高が下がっているようだ。

次の町に着いた。ここの宿はごく一般的な言及するほどでもない宿。街もさほど大きくはない。大きな都市の中間なので、主なことは都市に持って行かれてしまうからかも知れない。



翌早朝、馬車は出発した。

がらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがら

隣に座っている泉さんと会話をしようとおもっても、馬車の走る音がうるさくて怒鳴り気味にせねばならないので、あまり会話する気にもならない。

景色を見るか、寝るか、だけだ。



次の町に着くと、これまた小さい。が、かなり夏の陽気に戻っている。正確に言えば残暑だな、暑くないけど。カラッとしているので過ごしやすそうだ。


宿は変わっていた。

高床式だ。

こっちは夏はそう暑くないので、冬の暖房効率のみを考慮し、暖房のパイプは建物の床下を”閉じて”作られている。半分土に埋められている感じ。家屋の下の地面は、家屋があるために凍結ほどまでにはいかない。なので空気がある場所よりは暖かく、よってパイプから逃げる熱は幾分減る。


だが、この宿は高床式。???

宿の者に聞いてみた。

「ちょっとまっててください」と、奥に消える店員。

ほどなく

「やあやあ!おまたせしました!!ボクがこの宿の主人でギルマイルと言います。なんか、高床のことで質問あるとか?、んじゃ、先に見せたほうが早いでしょう!こっちです!!」


テンション高くない?

でも興味津々でついていく。中の階段降りて、床の下部分に入る。


「ほうひとが立てるほど、、土が掘られているのか、、」

「ええ、作業しやすいですし、なにより寒さが軽減される!。でもホントは全部地下にしたかったんですが、地面が硬いというか岩盤が地表ぎりぎり迄来ているみたいで、、ここから数m掘ったら岩盤みたいです。場所がまずったですねぇ、、」

「はあ、、、」と話を耳にしながら、見回している。

・・

「でっけーボイラー、、」

「!!おお!ボイラーってわかりますかっ!!!

これは嬉しい!!

いやー、ほんと、きょうは良い日だ!!」

パンパンとボイラーの外側を叩くギルマイル。

あうっ!!っと手を離す。

熱いようだ、だよなー、さっきからこの部屋暑いもん、稼働しているよなw


「ほう、、温水を部屋に流してる?

あ、んじゃ、各客室で温水が出るんですか?」

「ご名答!!

多分我が国の宿では唯一じゃないかなー?

同時に、その温水を各部屋の床下に回しながら風呂場に行くので、高温の温水をがんがんわかしてれば、各部屋は暖かく、温水シャワーも使える!」

「シャワーの温度調節は水と混ぜる具合で調節できる、と?」

「はい!!ご名答!!!よくそこまでわかりますね?分岐に少し苦労しましたが、その甲斐あって微妙な混ぜ具合までできますよ」


「これはすごいな!!!

その後、上に行って食堂の隅でギルマイルと湯沸かし談義。から、蒸気機関、そして封印技術の必要性と、その線引きなど。

線引きについては「時代によって変わっていくだろうし、、」と微妙になるのは仕方がなかった、



一方、泉さんは外に出てケーキを食べまくっていた。



「泉さん、ここに連泊しませんか?」

「おう、俺もこの町、小さいけど気に入ったわ、数日いないと制覇できそうもない!♪」

「デブりますよ?」

「毎朝鍛錬すれば大丈夫だとわかったんでな、心配いらんわ、はっはっはっはっは!!ケーキの100個や200個、どーってことないわあ!!」


俺も少し気になって、夕食後のお茶を、泉さんにくっついてって外のカフェですることにした。


「うわ、昼間は少し暑いくらいだったのに、、長袖にしてくればよかった、、つーか上着ほしいっすね、」

「おう、明日市場に行って買っとこう、じゃないとまずいなー。曇りの日の馬車も寒くなりそうだ。」

農国は一気に秋になり、その秋も一瞬で冬になる、と聞いていた。



ケーキを持ってきたウエイトレスのおねーさんに訊いた

「え?こっちは夏でも夜は寒いよ?秋?あはは、まだ半月以上先だねー」

と、カフェのおねーさん。

・・・・・

・・・

「ま、夜が寒いのは確かだ、、、上着を買うのも、よかろう。」

「そうですよね、寒いんだから」

「武国から来たひとって、皆寒がりだよねー」おねーさん。

「結構来るのか?」泉さん


おねーさんが言うには、行商の者も少なくないが、農国に売りに来るというよりは、農国からなんかいいもの見つけて武国に持って帰って売る、ってのに力を入れている様子だと。

あと、旅人。少なくないそうだ。で、面白いのが、まぁ旅人は男が多いのだが、それがこっちで嫁さん見つけてこっちに居着いちゃう、というのも少なくないと。

((あー、あの宿の主人))



「武国人って、結構外に出回るんですねー」

「ああ、俺も今知った、、、」

・・・・

「「だから」」

「おう、お前言っていいぞ?」泉さん

「んじゃ、、

だから西国遠征とか普通に”そこら行く”みたいな感覚で決めちゃうんですねぇ」

「全くだ、、、ちょいととなりにおつかいに、みたいに決めよったからなぁ、、、びっくりしたわ」


何気なくメニューを見ていると、、、

ケーキは、あ、、チーズケーキ、、チーズが在るのか、、そういえば、、どっかでメニューにパスタ見た気が、、

バターもあるんだろうなぁー、、つか、、あったら、、クッキーとかカップケーキとかうまいんじゃね?


「おねーさーん!クッキーかカップケーキなんかありますかー?」

両方あるというので、両方頼んでみた。


正解!バター使っている。蜂蜜も入っているなーこれ、、


「ほう、楽しめる種類が増えたわ♪」泉さん

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