第53話 中−19 鍛冶屋で剣と小手と鎖帷子など


俺らが朝食に降りてきたときには、もう御者の皆は発っていた。ガラーンとした一階。

うまいんだけど、、なんか広い所でポツンと2人きりで食うのは、、


食後の番茶をすすっていると

「今日はどちらへ?」俺がアンデットだと勘違いしたオーナー氏

「んー、御者たちが、この街は2,3日いると面白いって言ったのでな、ただ、何がどう、ってのは訊いていなかったわ、あっはっは!!」泉さん

「あー、そうですねー、じゃ、市場にでも寄られたら?面白いものも見つかるでしょうし、、」

”し、、”が気になったのは泉さんも同じだったらしい。


朝早くからやっているので、今から行っても大丈夫ですよ、と教えられたので。更に、下町抜けていくほうが面白いですよ、と。


ウチラの宿は街の門の近く、街の東側だ。下町は南側。市場は中央。なので南まで下りてから戻る方向だ。

なんにせよ、知らない町だ。教えられたおもしろいところ、を回らない選択はないだろう?



「なんか、鍛冶屋が多くないっすか?」

「ああ、鍛冶屋街って感じだな、、江戸にはなかったが、浪速とかにはあったみたいだな。」

「はぁ、、泉さん風にいうと、着物や布地の問屋街とかは東京、江戸にありましたね俺の時代には」

「うん、研ぎ師が多いとことか、煙管細工師が多いとことかもあったな俺が居た時は」

「ここもそんな感じでの鍛冶屋街なんすかねー」

ふむー、、


あ、

「ドワーフですよ、、きっと、、あの人、、わかった、ここら一帯はドワーフの街なんですよ」ガク

「ドワーフ、耳にしたことあったが、、なんだったか?」泉

「うー、、酒がすきで、、、

「よし!俺が説明してやる!」

おう!!びっくりしたー!!びっくりしたーーー!!

後ろから!!


「ドワーフってのは、この北の農国から来た奴等でな、儂らのことなんだが、、鍛冶職人が多い。ダントツ多い!

で、小柄で力持ち。ほれ、これ、筋肉隆々だろう?(力こぶ作ってる)で、闘うこともすきだが、何より酒がすき♪

旨い酒はもっとすき♪!!

どうだ?これから飲みに行くか?」


「おっさん、おまえさん仕事はいいのか?」泉さん

「おっとじょうちゃん厳しいなぁ、、」

「穣ちゃんはやめてくれ、泉と呼んでくれ」

「ワシはカジ、カジマイルだが、鍛冶屋のカジで通っている。」

「俺はガクです」

「ワシの店はそこだが、見ていくか?」

「何が得意なんじゃ?」

「ふふん、知れたことよ、剣だ」

「よかろう、寄らせてくれ」

「泉は、、そのなりによらず、出来る気配が強いなぁ、、、経験も多そうだ」

「よくわかるな?」

「ふん、これでも100歳は超えているからな」

「「・・・・・・」」



・・・・・、

「これは、、、」

「流石だな、、今店に在る中では一番だ。」

「このワシの体格には重いが、成人男性なら、おいガク、これ持ってみ」

ずしっ、、

「うわ、見た目より重い、、、」

「構えてみろ」

、、

振り上げてみる。メンを打ってみる。

「ふむ、、バランスはガクに合っている様子だな」

「ああ、この子にゃ丁度いいくらいだ、偶然だな、調整いらんくらいだ」

「いくらだ?」

「え?いいですよ、高そうだし、、」

「おまえ、小刀だけだろう?これから先なめられるぞ?腰にひと振りくらい差しておけ。カネは領主様から特別に預かっているから、そっから出す。」

「ええー」とかイイつつも、実は気に入った。持った途端すごくしっくりきたのだ。両手剣って初めて持ったけど。


「ただ、両手剣なので、前面がら空きになりやすいから気をつけろ?」

「・・・・・はぁ、、教えてくださいね?泉さん」

「もちろんだ♪」

うー、下手なこと言ったかな、、


「あと小手くれ、ガクとわしに合う左手用を。」


「楔帷子はどうする?」カジ

「うーん、旅して周るつもりなのでなぁ、、」

「んじゃ、胸当て程度のがあるから、重くはないと思うぞ?」

「見せてくれ」


でもそれを見ちゃうと、フル(全部)のほうがよく見えるんだよなー、、こう、、。

腹にきたらなー、とか思っちゃうんだよ。だいたい腹狙うし、、

とぶつくさ独り言を泉さん

で、フルを持つと、それほど重くは感じない、、、

「ま、さほど重くないんで、フルでいいかな。材質は?」

「合金だ。だから堅くて軽い。錆びにくいぞ」

「流石ドワーフだな、、、」


小手も持ってみたが、見た目より軽い。


なので、全部装備してみた。俺(ガク)が。

外を走ってみた。

??

「さほど重さ感じないっすね?」

「だろう?其れが俺らの腕ってやつさ!!」

「よかろう、全部で幾らにしてくれるんだ?子供には優しいんだよな・ドワーフ」

「・・・嫌なことだけ知ってるんだなぁ、、今晩おごれよ?」

「納得行く値段ならなー」

これでどうだ、いやこれこうで、かんべんしてくれ、こうでは?

とかなんか2人してごちゃごちゃやっている


「おごれよっつ!!!」カジ

「まかせろ!」泉さん

かなり値切ってしまったようだ、、、


俺らは持っていくのも面倒なんで装備して店を出た。


「小手を嵌めても、なんか違和感感じないっすねー」

「ああ、よくできている。普通は重いし、手が使いづらくなるのだが、これはすごいな、違和感が殆ど無い。その上重さも感じないようになっている、素材がそれほど軽いというわけでもないのに、、、

我が領にもドワーフの職人たちの街がほしいなぁ、、、」

「鎧とか作ってもらったら、すごいでしょうねー」

「ああ、凄いのができるだろうけど、、値段がな、、」

それほどしたんだ、剣1振りと小手2つと鎖帷子2着で、、


「でも、領主様の鎧だけでも作ってもらったら?」

「あーそりゃ良いな、福田、いや今は太田が側近か、太田に連絡を出しておこう。」

「んじゃ、福田さんにも言って、将軍様の鎧も。領主様とおそろいにすれば?」

「あっはっは!いいなそれ!!」

「泉さんもおそろいにされたりしてなー」

「断固拒否だ!ワシは軽身でなけりゃ戦えん」

「かぶり物だけでのおそろいとかねー」

・・・・・・「小手だけなら、、、」

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