第52話 中−18 旅の宿いろいろ?


ぱっかぽっこぱっかぽっこ

がたごとがたごとがたごとがたごと

暇だと言うか平和だと言うか、、天気が良いねー

音と振動が眠気を誘う

うつらうつらしながら視線はそとののんびりとした景色に


あー、いなかの鈍行列車の旅みたいだなー

・・・・

・・・・

うえ、、、ああ、夕方かーー肌寒くなってきた、、

ああ山越えか、、

あー、下界が見えらー、、随分登ってきたんだなー

お、やっと峠か?

って、峠とかで野営するの?もう暗くなるよ?いや、なってるよ?

ぼうずだよ?木すらほとんど生えていないよ?この峠!!

ピューピュー言ってる、、うわーー、寒そう、、


って、宿ありました。ありがたやありがたや!


峠のわずか下、風の直撃や雷を避けるための位置だろうなとすぐにわかった。

建物はかなりの年月を経ているようだ。

かなりの俺らみたいな旅人に喜ばれて来たんだろうなぁ、、偉いぞ!


「いらっしゃませー」

客はそこそこ。俺らの馬車の客たちが入ったら満杯くらい?

帳場を見たら大部屋もある様子。こんなところで客があぶれないように詰め込める部屋を持っているわけだ。


「2人泊まれる部屋ありますか?」

「ああ、まだあるよ、飯、つける?夜と朝、二人分。付けるなら銀貨一枚。」

「え?一人分?」

「いや、二人分で」

「いいんすか?」

「ああ、ここは毎日お客さん多いからね、安くてもいんだよ」

「風呂は裏に露天が在るから。」

「風呂もあるんすか?」

「温泉が湧くんでねー」

「まじ住みたい住みたいくらいっすね!」

「あはは、よく言われるよ

でも季節に寄っては風が凄くてねぇ、、人が飛ばされるくらいの時もある。

特に雪の季節にはね。住むのには慣れが必要だねぇ、、」

・・・・


「おう、露天風呂とな!早速行こう!!」

泉さんは大乗り気。

「温泉の後の酒はうまいからなー♪フフンフン♪」

そっち・・



「おじょうちゃん!ちゃんと洗いなさい!」

「仕方がないわねぇ、おばちゃんが洗ってあげるから」

「いー、いいからー、ワシ自分であらうからぁーー」

「いいからいいから!」

うひぃーーー!!



仕切りの向こうの女湯からなんか聞こえるけど、大丈夫そうだね♪

じゃぶ、、ふぃー、、、

最高♪鉱泉か、、活火山じゃないのかな。

噴火してこの宿が被害受けたら悲しいからなー



晩飯

野鳥だな、もも肉。泉さんのは胸肉。締まってて噛むほど美味い。味付けが塩とほんの少しの胡椒だけってのが丁度良い。

ハツとレバの串焼き、野草のおひたし。大根の味噌汁。

飯は麦が半分くらいまじっているけど、逆にそれがおかずにマッチしてるのか、美味く感じる。

すげーな、、王都とかで店出せば、、いや、ここでも充分繁盛しているか、、、

隠れた5つ星、ってとこだなぁ、、


旅路の宿なんぞ、大して語るところも無い宿が多いのだが、ここはすごくイイ!!

あれだな、領主様に推薦してもいいくらいだわ。

「泉さん、ここあれですね、領主様に推薦してもいいくらいじゃないっすか?」

「おう、俺もそう思った。酒が普通なのが勿体無いがなー」

まぁ酔いつぶれられてもアレだからだろーな。



翌朝

野菜と鶏肉の煮物。おひたし。味噌汁。ごはん。

と言えば普通に見えるが、こっちでは豪華な朝食。みんな美味かった!

なんだかなぁ、、なんか、村で普通に飯食ってるのがもったいなかった?

もっと美味しく作れたんじゃないか?って思わせられるものだった。



ぱっかぽっこぱっかぽっこ

「お客さん達、あの宿、どうでした?」御者

「すっげー旨かった!温泉も良かったし!やすかったし!!」俺

「そうでしょうそうでしょう!この路線の目玉ですわ、あーはっはっはっは!!」

だろうなぁ、、同じ道のりなら皆こっち選ぶだろうな。いや、少しくらい回り道でも選ぶかな?


峠から幾分下ると、もう風の音もなく、木々も茂り、普通の風景になった。


次の宿は、全く普通で、わざわざ記すべきことは無かった。



その次のちょいと大きい街が終点だった。

御者のおっちゃんにおすすめ宿を訊いた、つか、

「おっちゃんどの宿に泊まるの?」

「あっはっは!もろだなーwその根性に免じてワシの定宿を教えてやろう、でも誰にも教えるんじゃないぞ?

お前が小さい子連れてるから特別だぞ?」

と教えてもらった宿。



ぎぃー、ガランガラン、

・・・客、いねぇ、、

「いらっしゃい、、、」

陰気臭い人が出てきたんですけどー、、、アンデット?

泉さんの気で浄化できないかな?

「いやだなぁ、、私は人間ですよ?初めてのお客さんはみなそんな反応するんだからー」

「あ、、ご、ごめんなさい、、人間とはわからず、、」

「ヒデェ、、」泉さん

「あ!!」

「まぁいいですよ、誰かの紹介でしょう?」

「ええ、まぁ、、特別にって教えてもらって、、」

「んじゃ、部屋あいていますよ?どうします?」

「あ、お願いします。食事付けてください。」

「はいはい、、晩飯と朝飯、昼の弁当はいるますか?」

「え?そんなのあるの?」

「ええ、殆どのお客さんは持っていきますねー、御者さんが多いから、、」

なるほどー

「どうします?」泉さんに訊く

「うむ、もらっとこう、御者たちが持ってくんだ、うまそうだからな」

「はいー、んじゃ1部屋2人分の3食で銀貨2枚です」

「・・・いいの?ガラガラなのに?」

「はっはっは、うちは混むのは

「おやじー来たぜー!」どやどやどや、、、

7−8人がいっぺんに入ってくる。

「このように、遅くなってからなんですよ?」

はー、、、



晩飯は賑やかだった。あの御者さんもいて、その仲間も多く、泉さんも飲みにまじって。

飯ウマだったし、エールも美味かった。

御者さんが多かったんで、北への路線も訊けた。ここから農国のでかい街まで駅馬車が在るという。人が多いので、毎日朝早くに出ているので困らないだろう、と。

「でもこの街素通りは勿体無いよ?」と一人が。

「あー、そうだな、、2,3日いてみりゃ面白いってわかるだろうな」と2,3人が同意。


「んじゃ、2,3日ここでゆっくりしてみるか?」

「ですねー」

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