第50話 中−16 危機意識ゼロから生まれる異世界ポンコツトリオとの、、


ゴラーテから真北に位置する名も無き山に新坑を掘っているという。

俺は足手まといになる、と、宿に置き去りにされ。

泉さんは黒装束に着替えて刀の刃にすすを擦り付けて出ていった。

忍者だよね?




山道を走る。この速度でこの装束ならまず気付かれないだろう。こんなときほどこの小柄な体でよかったと思うことはない。

背を低く、前かがみになって矢のように走る黒い物体、せいぜい狼と見間違うくらいだろう。


小一時も走ると、坑道入り口付近に建物がいくつもできているのが見えた。上の方に坑道があり、その下側に広がっている。

灯りが灯っているのは数軒。


気配を確認しつつ、その一軒に近づく。窓の下。

「・・・もっとはやく!・・・・精製ができないのか!・・・銅は・・・亜鉛・・」

キーワードだけでかい声で言っているのが”西”の奴だろう。怒っている。

びびりの裏返しかもしれんな、、敵国という位置づけだろうからな、奴等からした我が武国は。


他の灯りのある小屋は労務者達の小屋と、西の兵士たちの小屋だった。

西の兵士の装備は良いとは言えない。立哨を後ろから見ても、威力は感じられなかった。

攻国と向こうを張るくらいなアレ程度なのかもしれない。

坑道は探る程の意味はないので放置。


その集落の周囲を確認し、何も無いことが確認できたので、そのまま山道を走って戻り、

途中から西側の枝道に入る。

こいっとき走ると塩の匂いがしてきた。

ほどなく海が見えた。

断崖の上の木陰から小さな遠眼鏡で小さな湾の中に有る港を見る。

波止場付近に兵舎はできていない。天幕もない。

兵力が居たとしても船の中?

その船、湾にあふれるほどまでに。50艘はいるんじゃないか?

廻船みたいな一枚帆のでっかい船。

多帆船は一隻のみ。


あれ、全部ほしいものだな、、

学が改造してくれるだろうという見込みを入れての「欲しい」である。改造なけりゃ燃やしちまえと思う所だった。





翌日、俺が起きたら、泉さんは寝ていた。

遅く帰って、、いや、明け方にでも帰ってきたんだろう。夜が明けたら仕事にならんだろうから忍者はw

俺は外を見て回るのもなんだし、、


宿の一階の食堂で、おかずをつまみに飲んでいるのか食べているのかどっちなんだろ状態でのんびりしていた。

他に客は、たまに出たり入ったり。



「きゃー!!」 すぐ外から。思わず外に出る学。危機意識ゼロ。


3人のならず者が、お買い物の少女を攫おう?としているように見えた。


「おまえらっ!!」思わず叫ぶ学。危機意識ゼロ。


「「「あ?」」」


え、やべ、、

「どうしたんですか?お嬢さん?」

「あ、、転びそうになって、、この人に支えてもらったんだけど、、、顔が、、その、、怖いんで、、、」

・・・・・・・・・

「「ごめんなさいっつ!!」」俺と少女

・・・

「ま、まぁ、、いいけど、、よお、、、、」シクシクシクシク・・・

「、、、まじごめん!おごるから気を取り直して!!」

・・・「ほんとうに?」ごつ面でかわいく言っても、、、


ーー


「で、ここに来たわけ、でも、なぁ?」

「ああ、死ににいくようなもんだろ?」

「ああ、で、そういう噂になってんで誰も行かないわけよ、、だからもう因縁つけて拐って鉱山にぶち込むことが起きているってさ」

「・・ひでぇ、、」

「「「だろう?」」」


先程の強面の3人と一緒に飲んでいるガク。強面が話している。


「で、駅馬車の停車場に行ったら、今日のはもう無いと。朝一番で行ったんだがなー」

「え?」

「南に行くのも北に行くのも無いと」

「馬車、停まってなかった?」

「そー言えば、停まってたかな?」

ポンコツかよ!!

「誰に聞いたの?」

「そこらへんに居た衛兵」

・・・・・・

「もしかしたら、目をつけられたかもね?」俺

・・・・・

「いや、こういう場合のありきたりのことでしょ?鉱山の人足が足りない、なので街から出ようとする男手を出さない。すぐあとに因縁つけて留置、インチキ裁判で鉱山送り。よくあることだよ(小説ではなー)」

・・・・・(((大汗)))


「どうしよう?」

「ああ、どうしよう?」

「うん、どうしよう?」

ポンコツかよ!!!!


「とりあえず、ココに泊まって、外に出ない。うちの御大が起きたら相談しよう。ココだけの話だけど、誰にも言うなよ?うちの御大、一軍(大隊)くらいなら一人で全滅させるよ?剣か槍一つで。」

「「「おおーー!!」」」


で、3人は1部屋とって、下で俺と飲んでだべってた。

夕方になってやっと泉さんが降りてきた。

「あ、泉さん!!こっちー!」

「「「?????????????????????」」」

「御大???」

「御大!」俺

「「「うっそー!!!」」」

「騙されたよ!俺騙されたよおおお!!!」

「泣くな!俺もだから!!」

・・・


「なんだこいつら?」

「あ、さっき知り合って、、これこれこういうわけで、、」

「ほう、、だなぁ、、お前ら危なかったな。」

・・・・・

「まじ御大?」

「まじ御大!」俺

「まぁいいから聞きな」俺


「昨夜現地行ってみた。西の指揮官かなんかが居たな。で、強引にとっとと大量に集めて持って帰りたいとゴネてた。しかも精製しろとかほざいて。ここじゃできんよなwアホだなぁ西のは、、

まぁ、アホが相手なら楽だ。

で、お前ら、どうしたいの?こっから出てどうすんの?」

「「「・・・・・・・・」」」

「行く宛ナシか、、んじゃ、俺に雇われるか?」

「姫に?」トリオ1

ボカっ!!

「姫って言うな!!」

「いてー、んじゃなんて、、」

「泉と呼べ」

「んじゃ、、泉さん、俺らやとって何すんですか?」

「そうだなぁ、、


「ここにいたぞー!!」

入り口が騒がしい!あ、衛兵かっ!?

いや違う、、あれ、見たこと有るけど、、随分見ていない感じが、、、

「・・・野上、どうした?」泉さん

「お久しゅうございます泉様。火急の事とのことで、修行もそこそこに駆けつけました。」

「何人居る?」

「14人。一人も欠けておりませぬ!!」

「よくやった野上」

「はっ!ありがとうございます!」


ひそひそひそ

「「「御大?」」」

「おう、御大!」

現実味を帯びてきたらしいw


全員で部屋に上がり作戦会議。

部屋狭いけどね。


「まず、お前ら3人、どうだ?雇われるか?仕事は”西の奴等”とその協力者どもを潰す。

これは将軍様の許可ももうすぐ出るだろう。いっときでも直属部隊に入るということだぞ?」

顔を見合わす3人、何がなにやら分からん?てな顔だが、、

「「「やりもうす!!!」」」 何国人?さつま?


「こいつら3人は俺と学で見る。なので野上は別行動してほしい。お前ら水大丈夫だよな?」

「はい、それはもう」


「目的は、最初は敵の船の破壊及び奪取だ。

ここの港に入りきれず、湾いっぱいに西の船が居る。50艘はくだらんだろう。

都合の良いことに旧式の一枚帆の船だ。帆柱1本だけ。

それを破壊し、走れなくする。できない場合、外から舵を破壊してもよい。

できれば船体は確保したい。後に改造して使えるからな、だろう?」

俺を見る泉さん、

「はぁ、、やりますよー、お仕事だから」

「よし!

で、多帆船は一隻のみ、切るのは真ん中の帆柱だけでいい。

陽が落ちて・・

俺らは小舟に乗って密かに動く

湾の外側からはじめていく

船の乗員は縛って放置か、抵抗してきた場合は無抵抗化する。かならず抵抗できないまでやる。敵の仲間に連絡できないまでにすること。なるべく血を海に流さない。サメが来る場合が有る。

破壊できない場合、油を撒いて火を付けること。でも目立つので、最後にやる。

船の処理が終わったら、港や浜にいる西の者達、関係者達を殲滅。捕縛してもよいし、殺傷しても良い。

命令だ、自分が傷つかないこと。めんどうくさけりゃ殺れ。めんどうくさい、と思う時は疲れが出てきているからな。危険だ。


で、

「将軍直属隠密部隊だ」

と名乗って良い。」





俺らは小舟3艘。

1艘1グループあたり約20艘の帆柱を倒す。

柱は直系30センチほどありそうだけど、、まぁ泉さんや野上さん達なら一太刀だろうけどな。日本刀と同じこっちの刀で。

リミットは明け方まで8時間ほど。



実際、小舟を移動させる時間が最も掛かった。

捕縛は容易だった。兵士は乗っておらず、船の操作をする者2,3人のみが同じ部屋で寝ていた。

なので船に着いたら感覚だけど、10分ほど?で終了。次に向かう、だった。

俺らは俺とトリオがもたもたしているので時間食ったが、人狼2チームはどんどんこなし、俺達は結局10艘程度、人狼チームは2つともその倍から3倍ほどやった。

流石野上の鍛えたチームだ。


まだ夜明けまで余裕が有る。

俺らは港の一軒一軒をしずかに虱潰しに見て回り、いたら捕縛していった。


で、まだ時間に余裕あったんで、全員近場の船(帆柱破壊したもの)に押し込んだ。



宿に戻り、全員で朝食をのんびりw

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