第49話 中−15 北山領 殲滅作戦序章
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なんか、殺伐としているなぁ、街というよりもう都会みたいなのに、、
「ゴラーテは北山領の領都よりでかいそうだ。周囲の山々はほとんど鉱物が眠っていると言われている。
鉱山があるとまず罪人が採掘に駆り出される。そしてあぶれ者浪人達。あぶれ者達は鉱山の周囲の飯場に住むか、町に住む。当然遊びに来るのは近隣の大きな街。そこの治安は荒れる。
が、今はまだ坑道が掘られているのはまだわずかなはずだ、、
この荒み具合は、、、?」
「いっすよ?」
俺は泉さんの立ち位置を知っている。領主様に仕えているけど、将軍様の騎士でもある。
一国(一領地のこと)の内政範囲内を逸脱した問題があれば、当然調査し、将軍に報告すべきだと泉さんなら考えているのだろう。で、調査していいっすよ、という意味だ。
「むう、、、すまんのう、少々危ないかもしれんが、、」
安宿をとった。その程度の客層のほうがいろいろ知っているんではないか?この状態の場合。と泉さんの判断。
隠密に成れるんじゃね?
あれ?今やってること、そのもの?幕府隠密!とかなーw
まだ夕飯には早い時間。そう、結構早く到着したのだ。
なので、町を少し歩き、茶店に寄って冷酒と干物でのんびりした素振りの泉さん。
俺は焼き鳥とエール。
「おかみ、なんか町が荒んでるのう、、町に滞在しようと思ったんだが、、、少々怖いくらいだわ、、
なにかあったのか?」
「・・・・早く発つ方がいいですよ、、」
ふむ、、
町を歩いてみて気付いたが、掃除とか日常されていることがされていなんじゃないか?
店も外に台を出している店は見ない。皆店内に。まだ夕方にも早いのに、開いていない店も多い。
人通りも多くなく、しかも住民らしき者の数は少ない。
あれ?獣人を一人もみていない、、
でも東武領でもあまり見なかったしな、そんなもんなんかな?
そう言えば、、モフ神の神棚が宿にもこの店にも無い。
「泉さん、モフ神の、」
「ああ、分かっている。無いな。意図的な何かなのかもしれん、、無さ過ぎる、というのも違和感がある」
俺達は宿に戻った。
他領からの旅行者のほうが口が軽いだろうと見込んで。
「おやっさん、また来たぜ、いつもの通りだ、数日滞在するから」
「おう、繁盛だな!」
「いやー、ここは、、最後かなぁ、、」
「つれないこと言うなよ、、おめーも来なくなったら誰が来るんだよ、、」
「そんなんかい、、」
「ああ、矢口んとこも山城んとこも川崎んとこも諦めたってよ、、」
「俺達商人に見放されて、どーしよーってんだかなぁ、、?」
「全くだ、、俺も閉めっかなぁ、、先もみえんしなぁ、、」
「そんななんですか?俺ら南から来たんすけど、ここは景気がいいって聞いて、、、」
「いつの話だ?、そりゃ以前はかなりのモンだったがなぁ、、」
「やっぱり、よかったんですね?」
「ああ、外から人は多く来て、そりゃ賑わってた、、」
「ああ、そうだったなぁ、、俺ら商人たちもここに来りゃ売れるし仕入れられるってんで安全パイの街筆頭だったくらいだ。懐かしいなぁ、、、そう昔じゃねーのに、、」
「ああ、ここ2,3年前までそうだったなぁ、、」
「ああ、よかったなぁ、、あの頃は、、、」
「あ、あんらた、悪いこた言わねぇ、、そんな子供連れなら早く他行ったほうがいいぞ?隣の領までとっとと。」
「え?そんな?領内全土で?」
「・・・・・ああ、、恥ずかしい話だが、、領内全部ダメだ。」
「もしかしたら、”西”かい?」泉さん
「じょうちゃん、何知ってるんだ?」宿のおやじ
「いや、あまり知らぬが、、西が武国を狙っているのは昔からだと聞いている。ここの領主は代替わりしたのか、、」
「ああ、3年前にな」宿おやじ
「で、側近に”西”の奴が入った?」
「ああ、そのとおりだという話だ。よくわかるな?俺は、見ちゃいねぇが、、偉いさんじゃなきゃなぁ?」
「んじゃ、ここによそ者達は皆”西”の奴等だな?道理で言葉がなまっているわけだ、、」
「じょうちゃん、よくもそこまで、今日着いたばかりだろう?」
「ああ、、旅慣れしているからかのう、、」
俺も大概だが、、泉さんは幾重にも上回るなw
「で、新鉱はどこに掘っているんだ?」
「・・・・・ここのすぐ北の山だ。西の山師が調査したらしい。ここだと”西”に運ぶのに最短距離だからな。」
「そんなに船が来ているのか?」
「ああ、港は船だらけだ、、でっかい船、帆が何枚もあるのも居たぞ」
俺は泉さんに断って部屋に戻った。
紙と筆を出す。
蒸気船。しかし、それとわからないように帆船型にして、排気を薄めて目立たないようにしなければならない。
過剰な技術だからだ。
大航海時代を迎えさせてはならないのだ、絶対に。
海中スクリュー型蒸気機関推進。
なんなら双胴船でも良い。喫水がそれほど深くなく巨大な船を作れる。
喫水が浅い高速船の場合、アウトリガーを付けてもよい。特に帆での走行時に助かるだろう。
排気筒は海面近く、排気筒の先までの間に、いくつも外気を取り入れる穴を付け、排気が出る勢いで外気を引き入れ、薄めていく。
スクリュー部から船底に入り込む水を汲み出すポンプも蒸気機関を利用する。
船体は蝋を染み込ませる。船体外殻は二重構造。強度もだが浮力も増す。
船体後部にデカイハッチを付け、馬車がそのまま乗り降りできるようにする。
スクリューはミッションを間に組み込み、高速可能にし、更に反転できるようにすること。
遠距離攻撃できる武装は必須。必ず載せる。
で、この船は何があろうとも絶対に武国以外に渡してはならない。
同時にフジツボ対策の研究もしてほしい、試験用小型船で船体外殻に蝋、墨、など木材に染み込ませることができるものを試験してほしい。
まず福田さんに見せ、概略を把握してもらう。熊と船大工を交えて実際のものを検討してください。
更に、福田さんに以下のことを計画実施させてください。
1,商会などを装って各地に情報収集および連絡拠点。可能なら国外にも。
2,国内各地から緊急時の連絡方法確立。可能なら国外でも。
3,内外の商会や個人の商人たちとの交流をできるように。商人たちが「そそる」方法で。
など。
で、俺は設計図のラフを書いた。全体図、主要部品図、作成図、加工方法図、治具図面などなど。
明け方まで掛かったが、できた。
「領主様に至急便で、、」言い終わって、爆睡。
「おい、学、、飯くおう、、」
ん?んーー、、、あさ?
「寝ぼけるな、もう夜も遅いぞ?」
飯を食いながら泉さんは
「馬で裏上村まで走り、そっから早飛脚に頼んだ。もう領主様は読んでるんじゃないか?」
げ、泉さんがぼろぼろに疲労して見えるのはそれが原因だったのか、、、馬何頭のりかえたのか?
「、、すんません、、、」
「いや、お前が徹夜で頑張ったものを、活かすのも俺の役目だからな」
「ありがとうございます、、、」
「で、なんだったんだ?あれは」
見もせずに、、、
「図面っす、西の船を蹴散らし、西に攻め込むための。でも、過剰技術なので絶対に他に知られたら、、この世界がぼろぼろになります、絶対に。」
「そうか、、」
「外来が、武国周辺しかでてこないでよかったっす、、」
「そうだなぁ、、、ほんとうに、、、」
他の国に外来が発生していたら、もうとうに近代技術が使われていたろう。人間性が無い戦い、生活、社会、にどんどんなって行ったことだろう、、
そんなのダメだ。この世界はこの国は、、、
食事時に泉さんは酒を飲まなかった。
「あれ?飲まないんスカ?」
「うん、このあと銭湯に行こう」
銭湯は小館の釜ではなかった。昔ながらの、浴槽の外にある釜で湯をわかし、浴槽に注いでいる形だ。
よかった、”西”に蒸気機関の元が渡る可能性は少ない?
ここでも少し情報をえられた。
なんか、西が強引に坑道開発を進めるもんで落盤が酷いと。西はバカで坑道掘削技術も持っていなんだろう、とバカにしていた。
これも朗報だ。敵はバカがいい。
モフ☆モフランドを脅かすクズどもは完全殲滅してやる
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