第24話 湯の花ダニー


やべぇ、、誰だ?ダニ持ち込んできやがったやつぁ?


風呂から上がった子どもたちの毛づくろいをしている時に、引っ掛かりを感じた。

爪でかさぶたをとるように、それをとった。ダニだった。


うちの村の人狼達は栄養がとても良い。しかも清潔。なのでダニなんぞにしては超ご馳走!!高級料理!!

いっぱつで食いつかれてしまう。野良猫なんぞいたら、そのダニ、蚤はこぞってうちの狼達に、こぞって移住してくるに間違い無し!!


誰だ?うちの子達にダニなんぞ移したどバカは?


徹底調査が必要である!!


と、、、その時気がついた。


ダニが入ってくることを完全に、しかもいつまでも阻止するこはできない。

では、


ダニがついてもすぐに対処できるような環境、を作らねばならないのだ!!

元の世界のように一ヶ月に一回塗ればいいっていう薬なんぞ無いのだからっ!!

(あれも万全ではない。なのでブラッシングは頻繁に!!)


最も重要なのは風呂だな!!


今の大風呂はひとと一緒に入っているので人狼達は人間形態で入る。人間にダニが付く場合、皮膚の下に入るので、洗っただけでは落ちない。

なので狼形態で風呂に入れるようにしなければならない!!


狼形態で風呂に入ると毛が抜ける。ダニを取るために湯の中でブラシをつかった日にゃ更に抜ける。通常シャンプー時にブラシでごしごしやってもらうとするが、でもソレでも取れない場合は湯の中になるから、仕方がない。

なので、

循環式はNGだな。毛が詰まる。

湯を流しっぱなしにできればいいんだが、、温泉みたいに。

温泉なんか出ないよなぁ?


で、そんちょに聞きに行く。

「あー、大昔にでたとかでなかったとか、、、」

役に立たん、、、


仕方がないので領都に。

「白えもーん助けてぇー!!」

「誰だそりゃ?」

「言ってみたかっただけです」


領主様に聞いてみる。

「小館では聞いたこと無いが、上村で大昔に出たという話は残っておったのー」

で、温泉があったらいいなー、という理由を説明する。

「かけ流しか、、、あっても鉱泉だろうが、、硫黄泉なら一発になるんだろうが、、まぁ、調べさせよう」

「ありがとうございますっつ!!!」


「温泉出たら、小館に住むかなー」と泉さんもそそられている

「したら、わしも小さな邸を小館につくるかのう」


温泉ってそこまでそそられるものなの?

おっさん(一部おっさん幼女)たちにはそうなの?



一ヶ月かかったが、調査結果では、上村の更に少し上まで来ている様子だとのこと。

なので、井戸はそこに掘って、上村無視は当然できないので、上村に村浴場一箇所、小館に「狼形態用」と「人形態用」、そしてでかい露天風呂、こりゃ基本領主様用として。なし崩しに領主様いないときは皆が使うと思うw

湯量に余裕があれば、下村までひく。引けない場合、下村の者達も小館に来て入ればいい、ということになった。


風呂とその建物は熊部隊がベテランなので、領主様からのご指名で小館大工の熊部隊に。





後日、ダニーは狩猟部隊からだと判明。獲物は全てダニ、蚤を飼っている。なので狩猟部隊はダニ蚤にたかられやすい。通常、狩猟部隊は皆その日のうちに風呂に入るのでダニに居着かれないが、若いもので風呂をサボるものが時たま居るらしい。そいつらが巣になっていた。風呂に入っても早ぶろで、ろくすっぽ洗もしないんで特に。

なので、狩猟部隊の隊長は、毎日ダニ検査をするようにした。

「ダニが見つかった者は、全身の毛を全て刈り取ります。で、全身のダニを取り尽くします。」

と俺が決定したので、隊長びびって。





結局3ヶ月以上掛かってしまった。

ボーリング技術は外来者によってこちらに合わせたものを開発されていたので、それでも相当早かったということ。元高校生には知識が全く無いので、何がどーなのか全くわかりません。


熊チームの仕事は早めに終わっていた。上村1つ、小館3つ、の風呂。下村は未定。半年くらい使ってみて決めるという。

領主様の予想通り鉱泉。

パイプ(この国に土管が普通にあったw)が長いのと、地下深かったので、結構温度は低め。冬は熱い湯を加えるか、沸かし直したのを加えるかしなければならないかもしれない。


けど、

これでこれからダニの心配はそれほど深刻に考えなくともよいだろう。

硫黄の粉とかあればいいんだがなー、温泉の素みたいなー。

あ、「湯の花」って向こうにあったよなー、こっちにもあるかも?


ありました、領主様みっけてきてくれた♪

領主風呂と狼形態風呂にいれてみました。

変態した人狼達は鼻が更に敏感になっているので臭い臭いうるさいのうるさくないのって、、すげーうるせーんだが、

「オメーらのダニ落とし用、特製温泉なんだよ!!苦労したんだよ、領主様がっ!!」

って説教したら、素直に入り始めた。



硫黄泉、こっちのダニには恐ろしく効いた。

狩猟部隊が帰ってきてから入浴するときは、湯の花を入れてよく混ぜてから入ること厳守し、必ず全員で入ること、となった。

どんどん感染されてはたまらんのだ。

まじダニ居ると毛艶が落ちる、ごわごわになってく。寄生された者は食欲倍増になるくらいだが、皆ダニの養分にされてしまう。

虫型吸血鬼、侮るなかれ!!



温泉から出てきて酒のんで気分良くなってる泉さんに、

子どもたちを風呂に入れてから毛づくろいをして天国気分になっている俺は聞いてみた。


「入植地の連中、ダニ、大丈夫ですか?子供だっているんでしょう?」

「・・・気にしたこと無いな、、つーか、むしろ、ダニの事、知らなかった?」

おお神よ!!!

「大げさな、、今までも何もなかったんだろう?」

「ちっちっち!! 今までとは彼らの環境が違うのですよ!!」

領主様も聞き耳立て始めた。


「彼らは攻国時代は奴隷並みに貧民、ダニの養分などさほどそそるほども無かった。

だがしかし!! 今はどうでしょう?! 彼らの毛艶はよくなり、それが彼らの体の養分の良さを端的に表面化しているのですっ!!狩りの得物に着いていたダニ、野良猫等に着いているダニ、などがみな村人たちに引っ越してしまうのです!! 虫型吸血鬼を舐めてはいけません。奴等は病原菌の媒体でもあります。寄生ヌシの体調をすぐに悪化させない病原菌もたくさんいます、一生かけて寄生ヌシを蝕んでいき、寿命を早めるものも。モフ☆モフには天敵ですっつ!!!


そして!今ここに!

領主様の努力と領主様のモフ☆モフ愛の結晶である”ゆのはなぁー”(のぶ代の声で)。

我が小館村モフ☆モフ研究所によると、温泉にこれを入れよくかき回し、その湯にダニを寄生させた変態後の狼形態の人狼が入浴した場合、ほとんどのダニが死滅し、その後のシャンプーで容易にとれます。ひと形態では駄目ですよ?

勿論入浴までに汚れを落とすシャンプーは欠かせません、湯が汚れてしまったら”ゆのはなぁー”(同)は、効果が薄れてしまうでしょう!


なので、泉さんは湯の花の生産量の現状と生産限界値を調べてくださいね♪

でないとー、

小館で毎日使い、入植地(いい加減村の名前決めたら?)で毎日使った場合、今後足りるか?

更に、王都にこれが知られた場合、奴等ダニたいして喰われてもいないくせに毎日湯の花を使うようになるでしょう、だからそこの数値も概算でいいから考慮し、予測してみてくださいねっ♪」



ついでのおもいっきり仕事を押し付けるチャンスであったので、ものにするために強引にでてみました。

どうやって調べようかな?とちょっと困ってたのだw

領主様が聞き耳経ててくれてよかった♪wいざとなったら領内分の確保よろしくっ!!


で、元我が側近、現泉さんの副官、で、聞くところによると外来、で名前が福田だったというその福田氏、

いつも影のようにひっそりと存在感無く泉氏にくっついている。当然今も、風呂上がりで浴衣着て日本酒飲みながら泉氏の横に。

彼なら余裕で調べられるだろう。


いやー、できる人達が周りに多いと、無能である自分がとても楽できていいなっ!!!

スローライフ?は、こーじゃんなくちゃなー♪ ww




後日福田氏からおてまみ=報告書

「余裕です。北方にも南方にも火山くさるほどあり、湯の花有り余ってます。獣人国に輸出を、と王様に提案したくらい腐り余っています」

流石優秀だなー


こんな優秀な人材が王城にいても国を滅ぼしているんだから、すげーよね?あの国。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る