.(仮) 拉致放置?から始まる異世界?生活?【なろう18万PV】

ユニ

第1話 「いや、明日通ったとき腐ってたらやだろう?」


原野が広がる。その遠く向こうには霞がかった山々。その頂に雪はない。

頂上付近は茶色だが、そこから徐々に緑になっている。山裾には森だろう、濃い緑がこちらに向かって広がる。ほかの方向は、遥か原野の向こうの森だろう緑に阻まれ、先が見えない。


口笛が野に響く。口笛は曲を奏でている。


森ではなく、なぜ野っ原になっているのだろうか。前に洪水でもあったのだろうか?人の手が入っているようには見えない。草が人の背丈より低い程度に生い茂り、背の低い灌木もまばらに生えている。

生き物の気配は、ことりさん達くらいか。野っ原の叢の中から飛び上がって上空で鳴いたり、叢に飛び込んだりしているだけだ。


口笛の曲が響き渡りフェードアウトして、消えた。曲が終わったことがわかる。

程なく、口笛は別の曲を響かせはじめる。


日は高く、気温は夏ほど暑くもない。その日差しは焼けるほどでもない。

九州くらいの平野での初夏、くらいだろうか?




うちの近くではないことは確かなー。

口笛をふく。


やけになっているのだヨ。 バスジャック犯の「歌えっ!歌うんだぁああ!!」って奴を、自分で自分に、みたいな。

道はあった。野っぱらをさまよいやっと見つけた。車の道ではない、人の、人だけが通る道だ。山道みたいなもの。


若くてよかった。これがじいちゃんくらいのよぼだったら、、、今頃死ねてたよな。


昨日の晩の家での食事が最後の食事。水もない。デイパックに入っていたペットボトル500cc、先程終わった。

スマホは通じない。

まじかよー、夢でなけりゃ、拉致&放置?


朝、起きたらここだったのだ。目覚めた場所も今歩いている場所も、ほとんど一緒で何もない。昨晩はどうしていたのか?も思い出せない。晩飯食ったことだけだ覚えているのは。

まさか家の者に捨てられた?まさかね?


更に更に、まさか、らのべっぽい展開じゃないだろうなぁ?ああ?んなベタすぎるのやめてくれよ??

だいたい神様に会うでもない、見知らぬ天井も無い、白い部屋?どこそれ?どっかのおみやげ?

チートが無いだろちーとが!!!!!

なので拉致放置が一番近いと思います!!ええ、間違いなく!!そうでなきゃ困るっつ!!!


などと自分会議を何回か繰り返しているが、結論はでない。

だってのっぱらとこのあぜ道同様の細い道、遠くに見える森とすっげー遠くに見える山以外の情報は、小鳥たちだけだもん。

当然道は舗装なんかされていまーせん。獣道に毛が生えた、つか、毛をむしったつーか、、泥の道。砂利さえ無いの。

どこの山道だよーーーー


拾った棒っきれ振り回し、道端の雑草をしばき倒しながら口笛吹いて歩いてるだけ。

まぁ、毎日通学に2km歩いて行き帰り、、ごめん今見栄張っても意味全然ないから!いや、ホントは3キロ近いけどほら田舎呼ばわりされるからー癖でぇーー。

つか、うちのほうの奥地の方の様子とそう変わらん風景構成がw。山と森の配置やら形やら気温からうちのほうでは絶対に無い、と言い切れるがな、キレるがなああああ!!キレちまいたいが!!!キレたことありまっせんっ!!!!どうやるのっつ??!!!

・・・単独ノリキレやっても楽しくないわな、、



ーー



3日目っす、、、、こんな歩いて農家一つ無いなんて、、、ほんと日本かここ??

小川があって小さな木の橋がかかってたとこで水飲んでペットボトルに補充したっきり、、、、


あ、神様見えた、、、あ、天使も、、、飛んでる飛んでる、、、、ちょうちょ、、、


あ、交差点??でかい道見えた??蜃気楼??


よろよろででかい道にたどり着いた。が、やっぱ踏み固められた泥の道。

あれー、微かに轍?車が通るのかな?軽トラくらい通れる道幅だな、、農家の車なら朝夕に、、、もうだめ、、ここで寝っ転がってりゃ止まってくれるだろー





「もし、、もし、、・・・」

「起きないねぇ、放っておくかい?」

「いや、明日通ったとき腐ってたらやだろう?」

「まぁ、そうだねぇ、、あんた担げる?荷物持ってやるからさ」

「・・・仕方ないなぁ」


ーー


「見知らぬ天丼だ・・・・」いや、言ってみたかったわけじゃないが、いっぺん言ってみたかっただけ!!どっちなんだよ!!

うを!!っぃちちちちーー、体中が痛い、、、特に足ぃぃいいいいい!!


「なぁに騒いでいるのさ!気がついたのかい?そこの水飲みな、ゆっくりな」


おう!!おばはん!豪快な固太りっぽい30半ば?くらいの肝っ玉かぁちゃん的ななにか!!

唯々諾々と従う俺。怖いからねおかんは!

「ごちそうさま、いきかえったわーーー」

「いまなんか、雑炊でも作るから待ってな」

「すんません!ごちになります!」

「良いから寝てな」


水を腹にいれたらまたうとうとしはじめた、、ホームレスの人たち、いつも寝てるんだけど、こんなんだからかなぁ、、


「おきとくれ!飯食いな!」  

あう!!びっくりだよ!!かぁちゃんらしいでかい声!数キロ先にも轟き渡るだろう!!


きゃっほー!!「「いただきますっつ!!!」

あれ?さじが木?木製?おしゃれさん?おや?麦かゆのおわんも厚手の木のおわん?なに?手作り感ばり!!健康志向一家なのかな?自然派ってのかな?


ともあれがっつく!!!がっっつ!!これでもか!!

「おやのかたきのようにがっつかなくともおかわりくらい用意してあるから、ゆっくりよく噛んで!」

「うっす!!」がつがつ!!

ぱっこーーーーん!!

おばはんに後頭部叩かれたーー

「ゆっくり食えってんだろ!!」

はーい、、、ゆっくりよくかんでなー


「うまかったー!!ごちそうさまでした!!」

「おう、礼儀はできるんだねぇ。で、なんであんなとこに倒れてたんだい?あんたどこから来たの?」

「んーーーよくわからんのですが、、3日位はあそこの脇道歩いてきました。

なっんっーーーーーっもなかった!!」

「そりゃそうだね、用事が無きゃ誰も通らないからね。山に通じる道だから、たまに木こりが通るくらいか」

「・・・まじやばかった???」

「やばかったね」

「あの太い道は人通り多いの?」

「うちのものくらいだろ、通るの。朝夕かな」

「ああ、助かった、、、まじ、、、ありがとうございます!!」

「いや、いいよ、ちょっと放置しようかな?とかも思ったけど、翌日腐ってたらいやだしねぇ?」

・・・・・・

「とりあえず、助けてくれてありがとうございました!!」

・・・・・「まぁ、いいさね、お互い様だよ困ったときには、さ。うちにゃなにも無いが、少し養生していきな」

「助かります!、、で、筋肉痛が酷いんで、少し家の周囲歩いていいっすかね?」

「ああ、無理せず、すこしだけにしときなよ?」

筋肉痛の酷いときはちょっと使ったほうがいいってのは経験則。



ほうほう、ログハウス?でかいね、煙突あるよ?木の煙突だお!!ちゃんと上はTの字になっているよ!雨が入らないように!

窓は、ハイジの家みたい♪つか、全体的にちょっとばかしでかいハイジの家?ガラス窓無いし、、

おう!裏には薪や農具が、、、あ?農具、、木製?あ、博物館で見た牛に引かせて耕すやつ!!の木製。

なるほどなぁ、木製じゃあまり耕せないよなー。あんだけ野っ原あるんに放置するしかないわなー。

半分は物置になっているログ農家ですた。ハイジハウスで、ハウジ?ハイス?なんかイヤ、、、


夕方になって旦那さんが牛引っ張って帰ってきた。

「おう元気になったか!!」

お礼なんども言って、背負って運んでくれたのが旦那さんで、牛はたまたま運悪く昨日は連れていなかったんで、という話を聞いた。


夕食の時、かゆをかっ込みながら、

「鶏飼わないんすか?にわとり!!卵生みますよたまご!」

「あー、ほしいんだけどねぇ、、高いからねーまだまだ、、」

「そうなんすかー、いくらくらいなんすか?」

「つがいで大銅貨5枚くらいはするなぁ」

・・・・・やべぇ、、、冗談じゃじゃなきゃ、まじやべぇ、、心ん中でかんだぜ!「・・・・・・」

「だろう?ちょっと手が出ないよなぁ、、鳥小屋つくっとかなきゃ襲われちまうしな」

む、心を落ち着かして先程のことは一時忘れて、「柵作って昼間は放し飼いで、夜は納屋にいれたら?」

「あーそれでいいか、、」


「そう言えば、畑って遠いんですか?きのう・・」

「あーあれな、ありゃ水浴びに川に行ってただけだ」

「朝夕?」

「あーかーちゃんに聞いたのか。朝は水くみ、夕方は水浴びだ」

なるほどなるほど、、水くみ、、ここまで水引けないのかな?


「そう言えば、あの煙突ってどうやって作ったんですか?」

「どうって、こう、こつこつとくり抜いて、、」

んーー、大変だし、その大変がすぐくさっちゃうともっと大変だし、、水路で砂利でもひくのがいいか、、

「明日、その川までついていっていいっすか?」

「いいけんど、、ころころ話題替えるなぁwwww」

うん、いつも皆に言われてたわw


田舎の夜は早い。夕食後は寝た。なんだかんだで今日は川に水浴びに行きそびれたようだ。おれのせーだな

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