桜前線、北上せよ!
という訳でやってきました。未吉と西浜さんのお宅です。
「お、お邪魔しまーす」
「いらっしゃい。今日は熱ないよね?」
「ねえよ! ちゃんと来る前に測って来たわ!」
「えらいえらい」
未吉がニヤニヤしながらも家の中へ招き入れてくれる。リビングに入ると西浜さんがキッチンから出てきて笑顔を向けてくれた。
「こんにちは。今日はお加減いかがですか?」
「……大丈夫です。先日はご迷惑おかけしました」
「あたしと対応違くない??」
「当たり前だろ。あ、これ土産」
「ありあとー…重っ!?」
未吉に昨日買い込んだ手土産を渡すと量に驚かれた。本当に自分でもどうかと思う量を買ってしまった。でも家に置いておいても仕方ないので結局全部持ってきたのだ。
「なにが良いわからなくて店員に勧められるがままに買いすぎた」
「わあ、美味しそうなお菓子ばかりじゃないですか。南雲さん、センスいいですね」
お? 西浜さんには好感触か? 西浜さんは目を輝かせて菓子箱を並べている。未吉にあれこれ言いながら何から食べようか悩んでいる。なんかおもちゃのサンタブーツに入ったおやつを並べている幼稚園児みたいでかわいい。未吉は割とどうでも良さそうだが嫌な顔はせず西浜さんの話に付き合っている。
「よし、これにしよう。あ、すみません南雲さん。お待たせしちゃいましたね。お茶入れてきますね」
「お構いなく」
西浜さんがキッチンに入ると未吉がニヤニヤしている。
「西浜さんはかーわいーいなーあ」
「あら、ずいぶん素直ねえ」
「お前相手にこの状況で意地を張ってどうする。ご協力の程をお願い申し上げねばならんからな」
「そりゃそうだ。まあでも焦らないほうがいいんじゃないかな。景は嫌なことがあったばかりだし。それでもあんたのこと悪くは思ってないみたいだしさ」
「?」
しかし未吉はそれ以上は言わなかった。その後は少し3人で談笑してから西浜さんは席を外し、未吉と2人で仕事の話をする。話し終えて帰ろうとすると西浜さんに声をかけられた。
「これ、よろしければお持ちください」
「ありがとうございます?」
「カレーです」
「ありがとうございます!!!!」
マジか!!!! やった!!!! 帰ったらごはん炊こう! めっちゃ炊こう!!!!
「3食分くらいはあると思いますので」
「本当にありがとうございます。大事に食べます!」
あ~嬉しい! 飛び跳ねる勢いで帰宅した。そう言えばこれ容器はどうしたらいいんだろう? あ、これを理由にまたお邪魔すればいいんだな? いえーい。
ちなみにカレーはその日の晩に完食した。最高においしかった。
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