124 霊の通り道

 テレビを見ていた友達がボソッと口を開いた。


「俺の部屋ってさあ、霊の通り道なんだよ」


「何だよ、その地味に怖い話」


「しかも方々の霊が通る通過点みたいな場所らしくてさあ毎日沢山の霊がすーっと通って行くんだよ」


「恐怖でしかないな」


「いやあ、慣れると平気なもんだぜ? 通るだけだし。それに普通に会話も出来るし、中には美人もいるからな」


「つっても触れられねえし、一緒に遊べねえだろ」


「まあそうなんだけどな。で、一ヶ月前からピタッと霊が現れなくなったのよ」


「それは良かったな」


「いないといないで寂しいぜ? で、三日前かな、死神が来たんだよ」


「これまた唐突な話。で、死神がどうした?」


「何でも霊界も近代化を進めようって話で徒歩から電車移動に切り替えるんだと」


「恐怖より興味が沸くな。それで?」


「この一ヶ月で運用方針が整って今日から開通になるんだってさ」


「ちょっと笑えるな。でもお前には関係ないだろう?」


「それがどうも関係あるみたいなんだわ。あっ」


 途端俺の体を生ぬるい何かが通過した。

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