070 考えうる原因

 ――ヴィーンヴィーン――


 スマホの画面を見ると友達からの着信だった。

「おー、電話なんて珍しいな。どした?」

「いやあ、ちょっと教えてほしいんだけどさ、指紋認証ってあるじゃん? あれ上手くいかないときどうすればいいの?」

「そんなん俺に聞くなよ。スマホでググれよ」

「お前ガジェットとか詳しいじゃん? このスマホで調べるより聞いた方が早そうじゃんか」

「まあ、確かに好きではあるけどなぁ。で、指紋認証だっけ?」

「そうそう、指紋認証が上手くいかないとき」

「えーと、考えられるとしたらセンサーか指の汚れが第一かな。あとは指が濡れてると感知しづらい事もあるぜ」

「指もセンサーも綺麗に拭いたんだけど、全然ダメ」

「じゃあ認証する向きが悪かったりとか。あと、ああ、指にケガとかない?」

「角度変えて何度も試したし、指はめちゃくちゃ綺麗なんだよ」

「じゃあ、基本的な話として登録した指が違う、とか」

「もちろん指は全部使ってみたけど解除されなかったわ」

「うーん、あとは稀にだけど極端に太ったり痩せたりすると読みづらくなる時があるみたい。急激なダイエットとかした?」

「昔から変わらずすらっとした綺麗な体型なんだよなあ」

「……あとはなあ……もう、機械の故障位しか思いつかんわ」

「そっかあ。でも相談乗ってくれてありがとうな」

「いやいや、力になれなくてわりぃな」


 電話を切った俺はそのまま警察へ電話をかけた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る