064 隣のご意見
うちの妻は隣家に住む女の言いなりで、事ある毎に相談しにいく。俺の意見なんか全く聞きやしない。旦那に逃げられた女の意見なんぞ聞いて何の参考になるのだろうか。
そして今日、それが原因で蓄積された俺のストレスが遂に爆発してしまったのだ。小さな言い争いは大ゲンカへと発展していき、結果妻は顔を真っ赤に染め上げ出て行ってしまった。行き先は恐らく隣家だろう。追いかけるのも
一時間程して妻がリビングに戻ってきた。後ろ手を組み、俯き加減でリビングに入ってきた妻は反省し冷静さを取り戻したように見える。まあ、少なくとも俺は落ち着いていた。一つ、大人の対応を取ろうじゃないか。
「あなた、本当にごめんなさい」
「いや、俺の方こそ悪かったよ」
「……何であなたが謝るの」
「いや、俺だってお前の意見聞かない時あるしさ、お互い様の部分って結構あるんじゃないかなって思ってね」
「……もう怒ってないの?」
「怒ってるわけがないじゃないか」
「……隣の元旦那さんは喧嘩した後もキレて暴れたそうよ」
「ん? 俺と隣の旦那を比較されてもなあ。俺の方が大人って事でしょ」
「……暴れてよ」
「はあ? 何で?」
「だって、失敗した時正当防衛にならなくなるでしょう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます