044 お勉強
勉強をする為椅子に座ると隣の部屋から壁を叩く音が聞こえ始めた。
――姉だ。
私は耳を塞ぐが、音は段々と大きくなるばかり。勉強に集中も出来ない。たまらず部屋の壁を何度も殴りつける。音が止むまで殴りつける。何度も何度も殴りつける。握りこぶしは血にまみれ壁には大きな穴がいくつも開いていたが構わない。姉が静かになるまで何度も殴りつけた。
音が止みシャーペンを手に取ると、今度は視線を感じた。ドアの方を見ると隙間が少し開いている。暗い隙間から姉の目がぎょろりと二つ、こちらをじいと見つめていた。ニヤニヤした口元から溢れる唾液は無数の糸を紡ぎ床面を湿らせていた。
気持ち悪い姉にカッとなった私は参考書を投げつけ、ドアを思いきり蹴とばした。何度も何度も蹴とばした。すると廊下から姉の笑い声が聞こえ始める。癪に障る甲高い笑い声は渦を巻き
ひ。
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