049 ホラー動画

「んと、教えてもらったアドレスは、っと……」


 スマホの画面を見ながらパソコンにアドレスを打ち込む。友達から教えてもらったホラー動画のアドレスだ。『まじ怖いからスマホじゃなくてパソコンの画面で見てみろよ』と言われたのでめんどいながらも言いつけにしたがってみた。


 アドレスを打ち込みエンターキーを押すと見慣れた動画サイトが立ち上がり動画が再生された。総時間は一分程しかないようだが十秒程流しても画面は暗いままで一向に何も映し出されない。

 そのまま三十秒程経った時、画面の真ん中に赤い文字で『あ』と表示された。


「何だこれ?」


 ぼんやりと見ていた画面に突如現れた文字に注視する。じいと見つめても何も変化はない。と、その時


――ぎゃあああああああ!――


 画面いっぱいに青白い女の顔が映し出されスピーカーからは絶叫が流れた。俺は本気でビビってしまい椅子から転げ落ちてしまった。

 放心状態のままへたへたと床に座り込んでいると再生が終わったようで動画は黒いサムネイルで止まった。


 俺は友達にメッセージを送った。

『あの、動画見たんだけど、まじビビったわw 何あれ?』

 すぐに返事が来る。

『なっ? まじ怖えぇだろ? あれさ、実は俺が作ったんだよねーww』

『お前が作ったんかよ! それにしてもまじビビるわぁ』

『だろ? 何も変わらない映像に、ふいに文字が浮かび上がる。すると誰だって文字に注目するだろ? そこに俺が三日かけて作ったCGの骸骨がバーンって映る訳よ。初めて見るやつは大体ビビるだろうなww』

『ほんとお前、技術の無駄遣いだわ。あっ、この動画他のやつにも教えていい?』

『おけ! どんどん広めちゃってくれぇ!』


 ビビりの友達は何人か直ぐに思い浮かぶ。俺は早速そいつらにメッセージを送ってやった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る