011 サンタクロースはパパ

「おい、サンタから何もらった?」

「ほらこれ。欲しかったゲーム機とソフト」

「すげぇ! 発売したばっかのソフトじゃん! しかも本体もか! お前ん家金持ちだなぁ……うらやましいなあ」

「ていうかサンタクロースに金持ちも何も関係ないんじゃないの?」

「……もしかしてお前、サンタクロース信じてる?」

「信じてる、ってどういうこと?」

「まじか! まだ信じてたか! いやぁ、ははは……実はサンタクロースの正体ってな……パパなんだぜ!」

「ええっ! そうなの!? じゃあうちもパパがサンタクロースなの!?」

「そうそうパパ、パパ。正体はパパ。どこでもそうなの。……そうかそうか、知らなかったかぁ」

「今までほんと知らなかったよ。でも、なぁ……」

「ん? どうした?」

「パパ、一週間前から出張で家にいないんだよね」

「そうなのか? だとしたらパパが買って、ママが代わりに置いてくれたんだろ」

「いやぁ、だってパパとママには僕の欲しいもの教えてないんだよ。それにパパとママ、めちゃくちゃ仲悪いし……」

「……んー、じゃあたまたま欲しいものを選んだんじゃないか?」

「そうなのかなぁ。でも毎年欲しいものが必ずもらえるんだよ。ずっと偶然?」

「毎年かぁ。だったら一緒に買い物行ったときにお前が欲しそうにしてるのを見てるんじゃないか? それかチラシ。クリスマス前は新聞に大量のチラシが入ってくるだろう? それをお前がよだれを垂らしながらじぃと眺めてるのを見て決めてるとか」

「よだれなんか垂らさないってば!」

「ははは、わりぃわりぃ。……ん? パパとママに“は”ってどういうこと?」

「毎年しつこく聞かれるからこっそり教えてるんだ。隣の家のおじさんに」

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