御伽世界のアイデンティティー

無頼 チャイ

空飛ぶ少年、嘘つきの少年

ある日、誰かの物語。

 少年はいつものように仕事を終わらせ、お家に帰って温かいご飯を食べました。


 少年はみんなで囲む食卓が大好きで、特に仕事終わりにはお父さんに褒めてもらい、頭を軽く撫でてもらえるのが少年にとって何より嬉しいことでした。


 みんなで囲む幸せな時間が終わると、いつものように汚れた服と仕事道具をきれいにするために部屋へ向かいます。


 そんな少年をお父さんは引き止め、こう言いました。


「『少年』、お前にまた頼みたい仕事があるんだが、構わないか?」


 お父さんの声は少年にとって太陽のような暖かみがあり、何より、仕事を任かされることに幸福を感じていました。


 黙って頷くと、お父さんはニッコリ笑いました。


「ありがとう、流石は『少年』だ。では詳しい話しをしよう」


 少年は幸せそうに目を緩ませ、口元を隠して頷きました。

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