第3話

「では、1発目のサプライズを発表します。」

アナウンスが終わり、テンションを上げるようなBGMが流れた後、誰もが予想していなかった光景がサイト上に映し出された。


高田大臣が脅されていた動画が消え、数十名程度の顔写真とイニシャル、年齢などの個人情報が次々と表示されていった。


突然の出来事に視聴者の戸惑いがコメントに反映されていた。コメントが洪水のように流れていく中、幾つかのコメントに違和感を感じた視聴者がいた。


「今、流れている人の写真ってコメント残した人の写真だっていうコメントを見つけたんだけど本当か?」

「なぜか今、俺の写真が写っているんだけど、どういうこと?」


「リーダー、視聴者の何人かが気付き始めました。」

俺は静かにうなづいた後、マイクを握り静かに話し始めた。


「視聴者の皆さんは突然、知らない人たちの顔写真が流れてきた事に驚いているかもしれません。今、掲載している写真の方々はある条件で抽出されたグループの一部の人たちです。まだまだ掲載していきますので、皆さんは自分が掲載されるかどうかを楽しみにお待ちください。」


アナウンスが終わった後も次々と写真が掲載されていき、止まる気配が全く無かった。




コメント欄には、『自分の写真が掲載された』というコメントが徐々に目立ち始めた。共通して分かっている事は、コメント欄にコメントをしていたという事だけ。それ以外の共通点を見つけられず、自分の顔写真が掲載された理由は誰も分かっていないようだった。


すると、誰かが『もしかして、今掲載されている人たちの共通点って高田大臣に対する誹謗中傷とか悪意あるコメントを投稿した人物たちじゃないか?』という新しい共通項らしき事を投げかけた。


「リーダー、どうやら視聴者たちが共通項を見つけ出しているようです。勘の良い人間は一定数いるもんですね。」

「謎を投げかけられると、その謎を解き明かそうとするのが人間だからな。で、更に自分が一番最初に気付いたという名誉欲などが欲しいんだろう。じゃあ、次の段階として写真をクリックしたら、そいつが書き込んだコメントを見られるようにしてくれ」

「分かりました。」


俺は再び、マイクをオンにして視聴者たちの疑問を解消してあげることにした。


「視聴者の皆様もお気づきのようなので、ここで答え合わせします。今、個人情報を掲載されている方々は、先ほどの動画に対して数々の暴言を投稿していた方達になります。今しがた、サイトの中身を一部改変し、その人達が投稿したコメントを全て見ることができるようにしておきました。優しそうな顔した人が、とんでもない事を裏では思っているんだという事をぜひお楽しみください。そこらへんのリアリティーショーという名を語ったコンテンツよりも編集が無い分、非常に生々しく見えることもあると思いますので、そこらへんの覚悟を持って個人の責任の範囲で閲覧をお願いします。」


個人情報が漏れている事実と、その人物たちが投稿していた悪意あるコメントが閲覧できるという事実がSNS上で更なる話題を呼び、サイト閲覧者は大臣の監禁の様子を配信していた時よりも何倍も多くの人が閲覧し、現在時点で4000万人という数の人がアクセスしていた状態になっていた。

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