語尾

吉川 「よくここまで来たど」


勇者 「クッ、現れたな!?」


吉川 「このオデは四天王の中の一人、IQ351を誇る天才、智将の吉川だど!」


勇者 「智将の吉川!」


吉川 「ここをあんだが通れる確率は、オデの計算によれば71%。果たしてオデの策略に勝てるど?」


勇者 「71%!? 意外と高い。そんなに頑張らなくてもいけそう」


吉川 「そう簡単にはいかないど!」


勇者 「智将、なんだよな? 頭のいい」


吉川 「オデはとっても頭がいいど」


勇者 「こんなこと言いたくないんだが、喋り方が頭良くない」


吉川 「そんなこと言っちゃいけないんだど!」


勇者 「とてもじゃないけど智将とは思えない。オデって言わないだろ、頭いいのに」


吉川 「そんなことないど! オデのIQは351だど!」


勇者 「なんだよ、その351って。その高さまでいったら普通1単位で刻まないだろ」


吉川 「IQ350のやつより頭がいいど!」


勇者 「比べられないだろ。そんなにいるか? ちょうどよくIQ350のやつなんて。そいつより頭がよかったらIQ360でいいんだよ。そのくらいザックリだろ」


吉川 「そこまでは頭良くないど」


勇者 「素直なやつなのかよ! 智将がそんないい子で大丈夫か? もうちょっと狡猾な返しをしろよ」


吉川 「未熟な嘘は破綻を招くど。オデ自身が矜持を持っていれば、無駄に自分を大きく見せる必要などないど!」


勇者 「立派なこと言ってるけど言い方が! もうその一人称と語尾は心優しき愚鈍のやつなんだよ」


吉川 「こ、心優しきだど?」


勇者 「素直に感化されるなよ! もっと愚鈍と言われたことに反発しろよ」


吉川 「う、うどん?」


勇者 「IQ351のやつが愚鈍知らない? 知識偏りすぎだろ」


吉川 「オデのすべての知能はここであんだを倒すために使ってるど!」


勇者 「あんまりそういう風には見えないんだけど」


吉川 「あそこを見てみろ。甘ぁい美味しそうなケーキがあるど!」


勇者 「ケーキが! 不自然に地べたに!?」


吉川 「美味しそうだど……」


勇者 「気を取られるなよ。罠だろアレは。それに甘いものそんなに好きじゃないんだよ」


吉川 「好きじゃないわけないど! あんな美味しそうなケーキなのに」


勇者 「それは個人の好みだろ。IQ351が仕掛ける罠がアレなのか?」


吉川 「ものすごく美味しいど? その完璧なレシピのためにIQ330くらい使ったど」


勇者 「罠に使ったIQ21!? バランス悪すぎだろ。IQってだいたいそうやって使うものなのかよ?」


吉川 「ほっぺがとろけるど」


勇者 「じゃ、食べろよ。いいよ俺は」


吉川 「え、それはさすがに悪いど」


勇者 「悪いとか悪くないとかの感情がまず先に来るなら、もう四天王に相応しくないだろ。どんな手を使ってでもここで行く手を阻むのが使命だろ」


吉川 「あ、すまんど。ケーキのこと考えて聞いてなかったど」


勇者 「じゃあもう食えよ! そんな集中力を欠いた智将いる? いくら頭が良くても心が弱すぎるだろ」


吉川 「グッ……。オデの知性は人の心に負けるだど」


勇者 「格好良く言ってるけど、ケーキを食べたい欲望に負けてるだけだからな。あとまだ知性を使われた感じ全然してないんだけど」


吉川 「もうダメだど。ケ、ケーキ。おわぁ! 罠だどぉ!?」


勇者 「わかってたよ。その展開は完全に読めてたよ。じゃ、通らせてもらうから」


藤村 「そこまでだ! よくここまで来た。オレっちは四天王最強の藤村でゲス!」


勇者 「まず四天王のキャラを整頓してから来いよ!」



暗転

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