学生
藤村 「なんか思い出すなぁ、学生時代」
吉川 「夏の終わりってそういうところあるよね」
藤村 「うちの学食、結構きれいだったんだよ。ちょうど俺が入った頃に新しくなって」
吉川 「へぇ」
藤村 「安かったから毎日食べてたよ。ハーバー丼」
吉川 「……ん? なんかそれは港でとれたやつなの?」
藤村 「いや、牛肉の。大学名物だった」
吉川 「ひょっとして大学って?」
藤村 「ハーバードだけど?」
吉川 「ハーバード大学だったの? エリートじゃん」
藤村 「それほどでもないよ。付属からのエスカレーターだから」
吉川 「付属? 付属もあるんだ。ハーバードに」
藤村 「うちは幼稚舎からだから。もうみんな付き合い長くってさぁ」
吉川 「幼稚園から? じゃ、ずっと向こうで?」
藤村 「向こうって?」
吉川 「アメリカで育ったってことでしょ?」
藤村 「日本だよ。日本校だったから」
吉川 「付属が? 日本にあるの? 全然知らなかった」
藤村 「本当? 意外と知られてないもんなんだ。中学なんて結構荒れててさ。マサ中のやつらがカチこんできたぞ! なんて喧嘩になったり」
吉川 「マサ中? 近くの中学なの?」
藤村 「あれ? 知らない? マサチューセッツ工科大学附属中学校」
吉川 「マサ中って呼ばれてたの? そこも付属があるんだ」
藤村 「そうそう、マサ小、マサ中、マサ高、マサ大だから」
吉川 「マサチューセッツ工科大学をマサ大って言ってる人見たことないんだけど」
藤村 「まぁなかにはマサチューセッ中って呼ぶ人もいたけどね」
吉川 「それ噛んでるだけなんじゃない?」
藤村 「マサ中のやつらはほぼみんなサイボーグ化されてるから喧嘩強くて」
吉川 「それはすごいな。さすがマサチューセッツ工科大学。ハーバードは? ハーバードはなにかロボとかないのか?」
藤村 「うちは主に棒と石でバリケード築いて」
吉川 「原始人じゃん。エリートなんだからもうちょっといい武器使えない?」
藤村 「いや、ほら。一番の武器は言論だから。そんな暴力なんて偏差値の低いことしませんよ」
吉川 「そういうものなんだ。やっぱり頭いいんだな。となるとマサチューセッツ工科大学のサイボーグはなんなんだよ」
藤村 「みんな視力がよくなる装置をつけてたよ」
吉川 「それメガネとかコンタクトなんじゃないの? それをサイボーグっていう?」
藤村 「じゃあ生身の人間か?」
吉川 「そう厳密に言われるとわからないけど。思ってた感じと違ったな」
藤村 「中学の頃だからさ。大学とかの頃になったらお互いに仲良かったけどね。サークルで交流もあるし」
吉川 「さすがエリート集団だな」
藤村 「合コンとかも一緒にやったよ。女子のところにも遊びに行ったり」
吉川 「女子もさぞエリートなんでしょうな。なんて学校だったの?」
藤村 「え~と、たしかムチプリ女学院だったっけな」
吉川 「それ風俗だろ。今までの話の全部その世界観だったの?」
暗転
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