SNS

吉川 「新しいSNSをはじめてみた」


藤村 「お、お前もいよいよミキサーか」


吉川 「ミキサー?」


藤村 「mixiをやってる人のことだよ」


吉川 「ミキサーって言い方は聞いたことないしmixiじゃないから」


藤村 「世の中のものって大体mixiと一緒だから」


吉川 「ほとんどのものはmixiと一緒じゃないよ」


藤村 「この世に起こりうるすべてのことがmixiに書き込まれてる」


吉川 「いきなりとんでもない風呂敷を広げちゃったな」


藤村 「ところで、そのなんだ、SNSってどんなの?」


吉川 「あんまり知らないんじゃないの?」


藤村 「知ってるよ! もう、知りすぎちゃって逆にわからなくなってる状態」


吉川 「なんだ、その状態は」


藤村 「もう、俺が誰なのかもわからない」


吉川 「mixiじゃないよ。好きなソーセージの種類によって繋がれるというの」


藤村 「俺は誰だ? ここはいったいどこだ?」


吉川 「落ち着け」


藤村 「前世が天草四郎だってことは覚えてるんだけど」


吉川 「そんなこと覚えてなくていい。大体、前世が天草四郎って美輪明弘じゃないか」


藤村 「えぇ! 俺はひょっとして美輪明弘?」


吉川 「ひょっとしてないから大丈夫。お前は藤村だ」


藤村 「藤村だと? あの世紀の大天才と呼ばれた藤村が俺か」


吉川 「呼ばれてないから大丈夫」


藤村 「まぁ、このような有様だ」


吉川 「厄介な有様だな」


藤村 「ところでSNSの話はどこに行ったんだ」


吉川 「お前が邪魔したんだろうが。だから今度はソーセージの」


藤村 「あー、ソーシャるやつか」


吉川 「まぁそうだね。ソーシャルとソーセージかけてるのかな」


藤村 「お前、そんなこといって、ソーシャルってどういう意味だかわかってるのか?」


吉川 「う……」


藤村 「ソーシャルってのはな、しょっぱいってことだ」


吉川 「それは、ソルティじゃ」


藤村 「あー、テキサスの方じゃそういう訛りもあるみたいだね」


吉川 「そんなテリーマンみたない出身じゃない」


藤村 「俺はこう見えても英語八段だからさ」


吉川 「なんだ、その段位は」


藤村 「黒帯だから。そこら辺の外人には負けないよ」


吉川 「なんで英語なのに段なんだ」


藤村 「それで、ソーシャルだ」


吉川 「ソーシャルってあれだろ? 社交的とか……」


藤村 「さすが俺の弟子」


吉川 「いつの間に弟子にされたんだ」


藤村 「君には直々に英語皆伝を授けよう」


吉川 「そんなもの勝手に授けられても困る」


藤村 「つまり、社交的なネット歯糞ってことか」


吉川 「ネットワーキングサイトだよ。歯糞って言葉もう人生で二度と使わないほうがいいよ」


藤村 「つまり、どういうこと?」


吉川 「コミュニティとかで、なんかみんなで仲良くしようってことじゃないの?」


藤村 「あー、思い出した」


吉川 「本当かよ」


藤村 「島原の乱ぞよ! であえー!」


吉川 「どこまで思い出しちゃってるんだ。天草四郎のことは忘れろ」


藤村 「ようするに、出会い系?」


吉川 「随分、身も蓋もない言い方するな。まぁ、近いものはあるけど、もっと開放的な感じ」


藤村 「出会わない系か」


吉川 「どんな系だよ。勝手に出会わなきゃいいだろ」


藤村 「まぁ、だいたいわかった」


吉川 「ちなみに好きなソーセージは?」


藤村 「改めて聞かれるとすごく難しいな。ソーセージってそもそも全部好きだし」


吉川 「そうだよね。全体的に好感度が高い」


藤村 「あんまり一つのソーセージを贔屓すると他のソーセージに悪いし」


吉川 「あんまり深く考えなくてもいいよ。後で変えられるから」


藤村 「そうなの? じゃ、叶姉妹」


吉川 「その双生児じゃないっていうか双生児でもない!」



暗転

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