『吉川くん』第一回

藤村  「ひーふーみー」


吉川  「藤村くん」


藤村  「いつむーななー」


吉川  「藤村くん」


藤村  「やや! 誰だ?」


吉川  「こんにちは。吉川です」


藤村  「いったい、こんなところでどうしてるんだい?」


吉川  「実は僕は21世紀から来たのです」


藤村  「ひえぇ! み、未来人」


吉川  「今は何年ですか?」


藤村  「昭和60年だよ」


吉川  「僕は令和3年から来たんだ」


藤村  「令和!? 昭和の次は令和なの?」


吉川  「しまった! 記憶を消すためにこの秘密道具を使うしかない!」


藤村  「記憶を消す道具? 一体どんな」


吉川  「環境に優しいチェーンソー」


藤村  「危ない!」


吉川  「忘れてくれたなら使わずにすむのに」


藤村  「忘れた! 何を忘れたのかも忘れた!」


吉川  「環境に優しいチェーンソーの効果が早速あらわれたな。ところで藤村くんは、何をしてたんだい?」


藤村  「今、畳の目を数えてたのさ」


吉川  「ズコー。まったく気が長いなぁ」


藤村  「ところで未来から何しにきたんだい?」


吉川  「藤村くんのお役に立とうと来たんだよ」


藤村  「実はゴリオにいじめられて仕返しがしたいんだ」


吉川  「それならこれだ。ジャジャーン! 全録レコーダー」


藤村  「わわっ!? なにそれ」


吉川  「これで殴れば頭にたんこぶができるぞ」


藤村  「よおし。ゴリオめ、見てろよー」


吉川  「うふふ。がんばれ。藤村くん」


ゴリオ 「よお、藤村。いいもの持ってるじゃんか」


藤村  「くらえ!」


ゴリオ 「やや、こりゃかなわん」


藤村  「さすが未来の道具はすごいや」


吉川  「えっへん」


藤村  「ねぇねぇ。もっと出してよぉ」


吉川  「そうだなぁ。ジャジャーン。低反発枕ー」


藤村  「うわぁ。なんだか雲みたいだ」


吉川  「これを使えば、朝までぐっすりさ」


藤村  「さっそく使ってみよう。グゥ」


吉川  「もう寝ちゃった。おいおい、藤村くん、宿題は?」


藤村  「未来の道具でやっておいてよ」


吉川  「そんなー。未来でも宿題は宿題なんだよなぁ。トホホー」



暗転

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