クリスマス
吉川 「クリスマスどうするの?」
藤村 「俺はねぇ、安らごうと思うよ」
吉川 「え?」
藤村 「もう、かつてないほどの勢いで安らごうと思う」
吉川 「いや、安らぐって……」
藤村 「もうね、なんか遠目から見ても、おぉ! あの人安らいでるなぁ……ってわかるくらいにね」
吉川 「いや、それはいいんだけど、予定とかは?」
藤村 「なんだおまえ? 急に俺に興味津々か?」
吉川 「別に興味津々じゃないけど」
藤村 「あれか? 俗に言うプチストーカーってやつか」
吉川 「なんでだ。誰がお前のストーカーなんかするか」
藤村 「じゃ、プチなんだ?」
吉川 「プチなにでもないよ。なんだ、その志の低そうな冠は」
藤村 「ははぁ~ん、お前あれだな?」
吉川 「なんだよ」
藤村 「図星だろ!」
吉川 「……いや、なにがだ」
藤村 「まぁ、それはいいとして」
吉川 「いや、待て待て。何が図星だったんだ。なんで勝ち誇った顔してるんだ」
藤村 「まぁ、それはおいおいということで」
吉川 「なんだよ、おいおいって。いつおいおいになるんだ」
藤村 「お前はどうなんだよ? 例のクリスマス」
吉川 「例のってつけなくても、わかるよ。俺はほら、彼女いるから」
藤村 「あぁ。あの朝青龍を痩せて可愛くしたような」
吉川 「なんでベースが朝青龍なんだよ。痩せて可愛いなら違うところから持ってこいよ」
藤村 「いや、横綱的なニュアンスでね」
吉川 「誉められてる気がまったくしない」
藤村 「例えばだよ。たまたま力士に例えただけだよ」
吉川 「たまたま力士に例えないでくれ」
藤村 「あれでしょ? 哺乳類に例えると……」
吉川 「いや、うちの彼女も哺乳類です」
藤村 「あーそっか。ある意味ね」
吉川 「いやいや、どういう意味でも哺乳類だよ。なんだ、ある意味って」
藤村 「まぁほら、いるじゃん? たまーに、目が四つついてるやつとか」
吉川 「たまーにいないよ。そんなやつ。どこで出くわすんだよ」
藤村 「なんだよ。今日はやけにつっかかるなぁ」
吉川 「いや、お前がつっかけてるんだろ」
藤村 「っていうことはあれか、クリスマスに例えると」
吉川 「なんで無理やり例えたがるんだ」
藤村 「ほら、なんて言ったっけなぁ……あの、赤い服着て、髭の生えた、サンタ」
吉川 「いや、それはサンタだよ。答え言っちゃってるじゃん。あと俺に何を期待してるんだ」
藤村 「まぁ、クリスマスだけに! なんちゃって」
吉川 「……いや。全然なんちゃってないぞ。何だ今の上手いこと言ったみたいな空気は?」
藤村 「あぁ、そっか。お前仏教徒だっけ?」
吉川 「え? 宗教の違いなの? クリスチャンならわかるの今ので?」
藤村 「いや、それはない」
吉川 「じゃぁなんだよ。なんだ。俺は振り回されっぱなしか」
藤村 「メリー苦しみます」
吉川 「いやいや、唐突にそんな使い倒されてクタクタになったジョークを言われても、話の前後がまるで見えてこない」
藤村 「で、お前はどうするんだよ? クリスマスイブとかエブとか」
吉川 「いや、それは話の前後じゃなくてクリスマスの前後だね。ちなみになんだエブって」
藤村 「イブ、ウブ、エブだろ?」
吉川 「いや、そういうシステムじゃないから。クリスマスの次の日はエブじゃないよ?」
藤村 「へぇ、いいこと言うなぁ」
吉川 「いや、全然いい事は言ってないよ。普通だよ」
藤村 「ははぁ~ん、図星だろ!」
吉川 「だから、なにがだ! なにが図星なんだ。全然、星てない」
藤村 「あぁ~あ、俺にも来ないかなぁ」
吉川 「サンタ?」
藤村 「ううん、なんだっけな……赤い服来た髭の……」
吉川 「だから、それはサンタだ」
藤村 「朝青龍」
吉川 「それは来ないわ」
暗転
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