ラスボス
魔王 「クッ……なぜだ!? なぜわしが、人間ごときに」
勇者 「人間はちっぽけかもしれない。だが、その中に、大きな勇気を持っているからだ」
魔王 「勇気か……だが、その勇気がはたして大魔王様に通じるかな?」
勇者 「なんだと!?」
魔王 「わしなど、大魔王様にとっては、ただの手下にすぎない」
勇者 「なんてこった!」
(中略)
大魔王 「ぐはっ! ……わしが、人間ごときに!」
勇者 「人間はちっぽけだが、深い愛を持っている」
大魔王 「愛だと!? このわしが、愛に破れたというのか……しかし、その愛の力で、わしら四天王を倒せるかな?」
勇者 「なんだと!?」
大魔王 「あと三人……愛の力を見せてもらおう」
勇者 「ガッデム!」
(中略)
四天王 「ガワッ! 我々が人間ごときに……」
勇者 「人間はちっぽけな中に……友情をもってるのだ!」
四天王 「友情……そのようなもの、まやかしだと思っていたが……しかし、我々、四天王の上に立つあのお方に通用するかな?」
勇者 「まだいんのかよ」
四天王 「あのお方の前では我々四天王も、ただのつかいっぱしりよ」
勇者 「アンビリーバボー」
(中略)
あのお方 「メキャッ! 私が人間ごときに」
勇者 「あー、人間は、あれだ。なんかあるんだよ」
あのお方 「なんだ。なにがあるんだ! そのちっぽけな身体に」
勇者 「色々だよ。もう全部説明しちゃったよ」
あのお方 「そんな、手を抜かないで」
勇者 「人間には……下心がある!」
あのお方 「え? ……下?」
勇者 「そう! お前は、その下心に敗れ去ったのだ」
あのお方 「……ちょっと、納得いかないけど……まぁいい。私の無念は社長がはたしてくれよう」
勇者 「なんだ、社長って」
あのお方 「社長の前では、私なぞアルバイトも同然」
勇者 「会社組織だったのか……」
(中略)
社長 「ペモッ! 私が、人間ごときに」
勇者 「人間の力、それはエロスだ!」
社長 「え……なにも、そんな開き直り方しなくても……」
勇者 「エロスだ! エロスに負けたやつめ!」
社長 「しかし、私の上には、真の帝王がいる」
勇者 「まだいんのかよっ!」
社長 「真の帝王様の元では、わしなど雇われ社長に過ぎん」
勇者 「もういいよ。早く次ぎ行こう。次」
(中略)
真の帝王 「ジョロッ! 私が人間ごときに」
勇者 「もうねーよ」
真の帝王 「いや、言ってよ。なんか説得してよ。強さの理由を」
勇者 「もうなにもない。ただ俺が強いだけ、それだけ」
真の帝王 「えー。そんなの説得力ないよ」
勇者 「じゃ、あれだ。運。運で勝ちました」
真の帝王 「運で負けたのか……しかしそれも、私で最後だ。あの、闇の総料理長の前では私など皿洗いに等しい」
勇者 「もういいよ! 出てこなくていいよ」
真の帝王 「そうはいかない! 人間の力、見せてみよ」
(中略)
総料理長 「ウマッ! 人間ごときに」
勇者 「もうないよ。全然ない」
総料理長 「なぜだ? なぜ私は負けたのだ?」
勇者 「知らないよ。適当に理由作ってよ」
総料理長 「そうはいかない……わが力が及ばぬはずは」
勇者 「だってもう、思いつかないもん。だいたいなんだよ。総料理長って、料理人じゃねーか。いつのまにか料理対決してるじゃねーか」
総料理長 「これが……愛?」
勇者 「いや、もう愛つかっちゃったから」
総料理長 「ではなぜだ! なぜ、私が負けたのだ!」
勇者 「材料は全部出尽くしてたから」
暗転
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