ガン

吉川 「ガンで死を宣告されるってどんな気持ちだろうねぇ?」


藤村 「さぁ? 言われてみないとなんとも」


吉川 「そうだよなぁ。いざ言われてみないと実感沸かないよね」


藤村 「まぁ、落ち込むでしょうね」


吉川 「そうでもないかもよ? 開き直って楽しくなるかも」


藤村 「そうですかねぇ?」


吉川 「もう、開きまくり。キャッホー! ガンでラッキーみたいな」


藤村 「アジじゃないんだから開きまくられても」


吉川 「それか、もう大暴れ」


藤村 「迷惑ですね」


吉川 「大暴れの大猿」


藤村 「え? 猿はなんですか?」


吉川 「だから大猿に変化して大暴れ。サイヤ人の誇りにかけて」


藤村 「いつからサイヤ人になったんですか。変化しないでしょ。普通」


吉川 「変化するタイプのガンだったんだよ」


藤村 「そんな面白おかしいガンはない」


吉川 「ないよなぁ……」


藤村 「やっぱり、今までの過去を振り返るんじゃないですかね」


吉川 「人生を? そんなのもったいないじゃん。まだまだこれからだっていうのに」


藤村 「いや、これからないですよ。ガンで死ぬんだから」


吉川 「あ、そっか。でもそんなことよりも一発デカイこととかしてさ」


藤村 「デカイことですか……」


吉川 「大猿とか」


藤村 「それは物理的にでかいだけじゃないですか」


吉川 「あ! ドッキリってのはどうだろ?」


藤村 「ドッキリって嘘をつくの?」


吉川 「そうそう。実はガンじゃありませんでした! って言ってだます」


藤村 「いや、ガンじゃん」


吉川 「それでこっそり死ぬ」


藤村 「うわぁ、かつてない地味で嫌なドッキリ」


吉川 「こっそりがポイント」


藤村 「リアクションとりにくいよ。騙された~って実際死んでるんだもん」


吉川 「もう、驚くやら悲しいやら」


藤村 「救われるところが微塵もない」


吉川 「そこに大猿に変化したやつがドッキリでぇ~す! って」


藤村 「大猿関係ないじゃん。だって死んじゃってるし」


吉川 「そうだった。え~と、ドラゴンボールで生き返った」


藤村 「ない。そんなボールはない」


吉川 「一生のお願いみたいなさ」


藤村 「一生のお願いで生き返っちゃったら誰も死なない」


吉川 「なんだよ! 正論すぎて二の句を告げないよ」


藤村 「一生のお願いなんてのはもっとつつましやかなものにするべきですよ」


吉川 「なに? 家内安全とか? 学業成就とか?」


藤村 「これから死ぬのに安全とかないでしょうけど」


吉川 「でも、実際になってみないとこればっかりはわからないねぇ」


藤村 「そうですね」


吉川 「ガンにはなりたくないなぁ」


藤村 「さ、そろそろ時間です」


吉川 「あれ? もうか……」


藤村 「それでは処刑を開始します。何か言い残すことは?」


吉川 「ギャルのパンティ……」



暗転

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