ゲーム

吉川 「あ……」


藤村 「いいの思いついた?」


吉川 「うん。すげーよ」


藤村 「えらい自信だな」


吉川 「面白いゲームを考えさせたら俺の右に出る物はいないよ」


藤村 「考えてる奴なんてそうはいないだろうけどさ」


吉川 「君は左に出てる人たちの中でもかなり最左翼だ」


藤村 「くそぅ」


吉川 「結構面白いと思うんだけど」


藤村 「今度のはどんなの?」


吉川 「ザ! ABCゲーム」


藤村 「ジ! だな。ABCゲームだったら」


吉川 「随分細かいところにこだわるなぁ」


藤村 「全然細かくない!」


吉川 「そんなことどうでもいいから。このゲームはABCで言葉をつなげていくゲームです」


藤村 「例えば? アベシ! とか?」


吉川 「違う。俺がAがつく言葉を言った後、お前がBのつく言葉を言う」


藤村 「つーかBのつく言葉なんてないだろ」


吉川 「テーマにそってればなんでもいい。英語でも」


藤村 「とりあえずやってみるか?」


吉川 「なんにする? テーマ」


藤村 「人間」


吉川 「ぬ? ……壮大なテーマに挑んできたな」


藤村 「ねぇなぁ。……Aがつく人間の言葉」


吉川 「のっけからつまづいたな」


藤村 「はい!」


吉川 「ひらめいた?」


藤村 「不謹慎なやつでいい?」


吉川 「変なのはダメだよ。穴関係?」


藤村 「ホール関係」


吉川 「待った! それはいくらなんでもダメだ」


藤村 「認めてよ。じゃないといつまでたってもAから進まない」


吉川 「む~、しょうがないなぁ」


藤村 「面倒くさいな、このゲーム」


吉川 「もう終わりにするっていう手もある」


藤村 「やめよう」


吉川 「ゆってる側からか。なんだよ!」


藤村 「ようするにアルファベットが馴染みないんだよ」


吉川 「乱暴な言い方だけど、確かにその通りだ」


藤村 「理論的と言ってくれ」


吉川 「ルールの見直しをしよう」


藤村 「連続したアルファベット以外の文字列で……」


吉川 「ローマ字?」


藤村 「わかってないじゃん! そうじゃなくて……例えば、あいうえおの五十音」


吉川 「を! テーマは?」


藤村 「ん~と……ゲームで」



暗転

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