呪い

吉川 「教授、大発見ですね!」


教授 「うむ。大発見じゃ」


吉川 「ではさっそく……」


教授 「待ちたまえ吉川くん」


吉川 「どうしたんですか?」


教授 「君はツタンカーメンの呪いと言うのを知っているか?」


吉川 「はい」


教授 「……そう」


吉川 「……」


教授 「……」


吉川 「なにションボリしちゃってんですか。話したかったんですか?」


教授 「……いや、いいよ。別に」


吉川 「すねてるし。あーっ! なんだっけなぁ。ツタンカーメンの呪い。急にど忘れしちゃったみたい!」


教授 「そうかね! ど忘れか」


吉川 「はい! 教えてください」


教授 「まったく吉川くんは世話が焼けるなぁ」


吉川 「はははは。すみません……クッ」


教授 「むか~し、むかし、あるところに……」


吉川 「いや、そんなのなの? なんか全然リアリティーないんだけど」


教授 「おじいさんとおばあさんがいました」


吉川 「完璧に昔話じゃん」


教授 「おじいさんは墓へ発掘に、おばあさんは川へ洗濯に行きました」


吉川 「一応発掘するんだ」


教授 「おばあさんが川で洗濯をしていると」


吉川 「いや、じいさんをフューチャーしろよ。ばあさんはどうでもいいよ」


教授 「もう。吉川くんはせっかちだなぁ。おじいさんが墓で発掘をしているとツタンカーメンのお宝グッズがざくざくと」


吉川 「なんかありがたみのない言い方だなぁ」


教授 「家に持って帰って割ってみると」


吉川 「割っちゃったの!?」


教授 「中からまるまる太ったツタンカーメンのミイラが」


吉川 「ミイラなのに太ってるんだ」


教授 「めでたしめでたし」


吉川 「終わりっ!? 呪いは?」


教授 「吉川くんがせかすから省いた」


吉川 「省かないでよ。そこが肝心じゃん」


教授 「おばあさん川で溺死」


吉川 「そっちか。そっちが呪われちゃったんだ」


教授 「このように遺跡発掘には呪いなどの珍事がつきものだ」


吉川 「はぁ。じゃ、どうします?」


教授 「しかし、我々の知的好奇心はそんなものの前では屈さない」


吉川 「でも、呪われたら……」


教授 「そこでこの便利グッズの登場だ」


吉川 「なんですか? そのボロキレは」


教授 「呪いよけマント!」


吉川 「わぁ。その名前、もうちょっと考えようがあったと思うんですけど」


教授 「このマントをだな」


吉川 「はい」


教授 「ちょっとそこの川で洗ってきてれない?」


吉川 「やです」



暗転

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