天使と悪魔
吉川 「ちっくしょう! あんなやつ……」
悪魔 「ほわんほわんほわんほわんほわわわわ~ん♪」
吉川 「はっ!? またしても」
悪魔 「ヒッヒッヒ。俺はお前の心の中に潜む悪魔」
吉川 「しまった、このままではろくな展開にならない」
悪魔 「ちなみに年齢は10万28歳」
吉川 「なんで俺の中に潜んでたのに10万年も年上なんだ」
悪魔 「……うっさい、バカ!」
吉川 「うわぁ、理不尽にキレられた。たち悪りぃ」
悪魔 「それはそうとさ、殺しちゃえよ。あんなやつ」
吉川 「悪魔の囁き! しかしこういう場合にはたいがい天使的なものが現れるんじゃないか?」
悪魔 「う……。あいつが出てくるのか!」
吉川 「フフフ、相当苦手らしいな」
悪魔 「いや、苦手って言うか……なんつーか」
吉川 「出て来い、俺の中の天使!」
悪魔 「ギャー!」
吉川 「……」
悪魔 「……あれ?」
吉川 「……え?」
悪魔 「出て……こないね?」
吉川 「ひょっとしていないの? 天使」
悪魔 「さぁ、どうなんだろ」
吉川 「なんだよ。悪魔しかいないのかよ。俺ってとんだ悪人だったのか」
天使 「ん? 呼んだ?」
悪魔 「あ! いやがった」
吉川 「うわぁ! 普通にでてきた。なんか普段着感覚で」
天使 「ごめん。ネトフリ見てた」
吉川 「天使の癖にサブスク活用するなよ」
悪魔 「なんかオススメの海外ドラマある?」
天使 「あるよー。やっぱスター・トレックは最高」
吉川 「俺をほっといて打ち解けるなよ! 仲良しさんか」
天使 「なんの用?」
吉川 「いやね、悪魔のやつが殺人を推奨するんですよ」
天使 「どんな?」
悪魔 「いや、すげーいやなやつがいるらしいからさ。こう一思いにブスッと……」
天使 「なんてことを! そんなこと許しません!」
吉川 「そういうのを待ってた。さぁ俺の心の中で対決してくれ!」
天使 「やるからには足のつかないように完全犯罪を!」
吉川 「え……」
悪魔 「そ、そうっすよね。やっぱ綿密に計画立てないとダメッスよね」
吉川 「いやいや、なに? 殺人はノープロブレムなの? そこは同意なの?」
天使 「別に殺さなくても行方不明でもいい」
悪魔 「さすが!」
吉川 「違くて! 天使でしょ? え? 俺の中の天使ってこんなの?」
天使 「こんなのですよ」
吉川 「えー。しかもなんか悪魔が下手に出てるし」
悪魔 「そりゃ、年上だから」
天使 「10万29歳」
吉川 「なんでだよ! 俺の中にいるんでしょ? 10万年なにしてたんだよ!」
天使 「ジグゾーパズル」
悪魔 「200兆ピース」
吉川 「でけー! そりゃ10万年経つね」
天使 「まだ角四つしかできてないけどね」
吉川 「全然じゃん。10万年まるで活用できてないじゃん」
悪魔 「そのうち3つは俺のほうが見つけた」
吉川 「地味な主張だなぁ。どうでもいい」
天使 「で、殺すにしても罪を逃れるには身代わりが必要だな」
吉川 「えぇ。いや、あのね。俺は基本的に殺しは良くないなーって思ってるんだけど……」
天使 「なにをここまできて!」
吉川 「いやいや、どこまできたんだ? どこにもいったつもりはないぞ」
悪魔 「天使呼んじゃった時点でもう諦めたほうがいいよ」
吉川 「えー、そんな恐ろしいもの召還しちゃったの?」
天使 「あいついるじゃん、もう一人むかつくやつ」
悪魔 「藤村?」
天使 「そうそう。あいつに罪をかぶせようぜ」
吉川 「とんでもない計画になってきた。ちょっと待ってよ!」
天使 「一石二鳥だな」
悪魔 「どうせなら保険金とかかければ?」
天使 「いや、警察ににらまれるからまずいな」
悪魔 「そうか……」
吉川 「もう、俺はおいてけぼりなんだ。計画すすんじゃってるんだ」
天使 「だって、殺るんだろ?」
悪魔 「殺っちゃえよ!」
吉川 「あああ! 俺の中に良心はないのか!」
父母 「ほわんほわんほわん……」
吉川 「いや、その両親じゃないよ! 出てこなくていいよ!」
父母 「殺っちゃえよ!」
吉川 「お前らもか!」
暗転
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