サンタ

サンタ「ところで、アレ知らない?」


吉川 「そんな、指示代名詞で言われても。……なんですか? アレって?」


サンタ「あの、なんだっけ。なんとか貝」


吉川 「貝?」


サンタ「そうそう、なんとか貝」


吉川 「ホタテ貝?」


サンタ「違うよ! なんだよホタテって!? バカにしてんのか!」


吉川 「いや、なに急に逆切れ」


サンタ「あ~。ここまで出てるんだけど、もう食道まで貝がきてる」


吉川 「なんか汚いなぁ。具体的な内臓の名称はいいですよ」


サンタ「なに貝だっけなぁ」


吉川 「ホラ貝?」


サンタ「近い! いま、カスッた! ぎりぎりをカスった!」


吉川 「赤貝?」


サンタ「あぁ、遠くなっちゃった。全長2km行っちゃった!」


吉川 「全長って意味わからないけど。ヒント下さいよ。漠然と貝だけじゃ情報が少なすぎる」


サンタ「あれだよ。ハナが赤いの」


吉川 「鼻っ!? ……コピーロボット?」


サンタ「そうそう、ポチッと押して、みょみょみょみょみょ……。よし、コピー。後は頼んだぞ。げっ!? ガンコ。あーお兄ちゃんたらまたパーマンと猥談してるぅ。ま、まずい。ここはひとまずパワーッチ! あ、サブとカバオくんだ。カバオくん、お父さんの入れ歯めっかった? って誰がパーマンやねーん!」


吉川 「長い。長い上に、面白味がちっともない。やってる本人が楽しそうなのが唯一の救いという、絶望的なノリツッコミ」


サンタ「本気を出せば、あと三分は続けられた」


吉川 「いいよ。そんな小芝居みたくないよ」


サンタ「アレだ。角があって……なんか、スマップにいそうな……」


吉川 「トナカイ」


サンタ「正解! 10点獲得」


吉川 「その10点は、どこで使えるんだ」


サンタ「ジャンピング・チャーンス★」


吉川 「突然、クイズ形式なった」


サンタ「今、あなたはジャンプするチャンスがあります。飛びますか?」


吉川 「え、飛ぶだけ? ジャンプの許可だけ?」


サンタ「残念。時間切れ。もう一生ジャンプできません」


吉川 「いやだよ。何で勝手に人の身体能力を拘束するんだ」


サンタ「最初のクリボーに突き刺さって死ぬ」


吉川 「マリオか」


サンタ「ところで、マリオといえばトナカイどこ行ったか知らない?」


吉川 「知らないし、そもそもマリオといえばの接続が理解できない」


サンタ「ほら、マリオもトナカイも谷底に落ちると死ぬつながり?」


吉川 「いや、そんなの普通誰でも死ぬ」


サンタ「まぁ、トナカイはね……硬い貝殻に覆われてるから」


吉川 「そもそも貝じゃないじゃん!」


サンタ「バカ、あれ貝類だよ」


吉川 「うそっ!?」


サンタ「ホントホント。鹿っぽい貝」


吉川 「鹿っぽいって、明らかに哺乳類スタイルじゃん」


サンタ「嘘じゃないよ。貝柱とか絶品だぜ」


吉川 「貝柱!? 食べるんだ」


サンタ「酒蒸しにするとね、パクッと開くの」


吉川 「えー!? いったい、あの形状のどこが開くんだ」


サンタ「心」


吉川 「心の扉か。酒によって気を許しただけじゃん」


サンタ「まぁ、これ以上膨らまない嘘は置いといて」


吉川 「やっぱり嘘か! こっちもノッてきたところで、サラリと流すんだ」


サンタ「まぁ、サンタなんて所詮、嘘の集大成みたいな存在だからな」


吉川 「そんな切ないこと言うなよ……」


サンタ「だって、お前だって信じてなかったろ?」


吉川 「いや……それは……ほら、お父さんだろ?」


サンタ「やっぱりバレてたんだ……」


吉川 「え……」


サンタ「随分、大きくなったな……」


吉川 「ひょ、ひょっとして……お……お……」


サンタ「ペリペリペリ…………会いたかったぞ」


吉川 「ぉ……お……おっさん誰?」


サンタ「しまった! 正体を知られたらバードマンに豚にされちゃう! ブービー、パー子、助けてくれ! だいたいパー子、お前の正体は誰なんだよ。みんなにも教えないなんてズルいぞ。どうせブスだろうけどさ。女の子だったら星野スミレちゃんみたいに……」


吉川 「それ、楽しいのお前だけだからな!」



暗転

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