ダバ山
吉川 「なんだよ、ダバ山、こんなところに呼び出して」
ダバ山 「実は……話があって……」
吉川 「え、カツアゲ? もしくは恐喝?」
ダバ山 「違うよ。もしくはって、一緒じゃないか」
吉川 「じゃ、なんだよ」
ダバ山 「ずっと隠していたんだけど、お前だけには打ち明けようと思って……」
吉川 「俺の上履きにウンコ挿入したのはお前かッ!」
ダバ山 「挿入してねーよ! 違う。実は…俺…フランス人なんだ」
吉川 「ガビーン!」
ダバ山 「黙っててごめん……」
吉川 「じゃ、ウンコ挿入したのは誰なんだ……」
ダバ山 「そっちにガビーンか! 知らねーよ!」
吉川 「え? フランス人だったの?」
ダバ山 「う……うん。純粋なフランス国籍」
吉川 「そうか。ダバ山なんて名前、おかしいと思ったんだ。今まで、二人くらいしか聞いたことない名前だし」
ダバ山 「二人もいたのか」
吉川 「それにしても、お前……そんなことが外部に知れたら」
男 「話は全部聞かせてもらったぜ!」
吉川 「あ、お前は……西校の!」
ダバ山 「えぇっ! ライバル校の西校のっ!!」
男 「そうとも。俺は西校の!」
ダバ山 「……誰なんだ。西校の誰なんだ」
吉川 「よう、久しぶりだな、西校の」
ダバ山 「名前なの? 西校のっていう名前なの?」
吉川 「この間の合コンどうだった?」
ダバ山 「仲良しなのか?」
西校の 「まさか、お前がフランス人だったとはな」
吉川 「ちっ! 聞かれちまったのか」
西校の 「道理でフレンチカンカンが上手いわけだぜ」
ダバ山 「頼む! このことは……」
西校の 「そうはいかない。このことは委員会に告げ口させてもらうぜ」
吉川 「畜生、一番まずいやつに聞かれちまったようだ」
西校の 「フフフ、インターハイに外人枠はない。これで優勝は西校がもらった。サラバだ。あと、合コンは最高だったぜ!」
吉川 「くそぅ、合コンは最高だったのか」
ダバ山 「そっちに悔しがってるのか」
吉川 「アイツは、冷酷な男だ、勝利のためならなんでもするだろう」
ダバ山 「終わりだ……」
吉川 「そうとも限らないぜ」
ダバ山 「どうするつもりだ」
吉川 「委員会に直訴するのさ」
ダバ山 「そんなこと……できるわけ……」
吉川 「バカヤロー! やってみないとわからないじゃないか!」
ダバ山 「吉川……」
吉川 「たとえ国籍がフランスだろうと、お前は……日本人だ。デーブスペクター以上に日本人だ。そのことは、誰よりも、今までいっしょにやってきた俺が保証するぜ!」
ダバ山 「吉川……」
吉川 「ダバ山……」
ダバ山 「吉川、メルシー」
吉川 「えー……」
暗転
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