浅野の場合-4-

 その女性キャスターが伝えた詳細は以下の通りだった。

 内容は銀行に覆面姿の二人組が強盗に入った。手には拳銃を携え、一人は客を人質にし、もう一人が受付の銀行員を脅し現金を請求――と、まるでドラマのワンシーンを参考にしたような典型的な銀行強盗だった。

 そこまでは順調だったが、その後は当然……とはいっても、この二人組には予想外の出来事が発生した。数人の職員が言われた通り現金を詰めている中、ある職員が二人組に気付かれないように、備え付けられている非常ボタンを押したのだ。

 銀行の出入口は閉まり、同時に警察にも連絡が入った。閉まった出入口は開くことなく、二人組は閉じ込められ、また警察も迅速な行動により、あっという間に取り囲まれた。

 二人組は数時間立て篭もった後に、諦めて出頭し逮捕。諦めたのは、手に持っていた拳銃がモデルガンだったことが要因のようだ。人質を盾に逃げるには心許無かったのだろう。同時に、気が狂い発砲などという行為に移れなかったことも不幸中の幸いであった。銀行強盗の二人組は事情聴取にて、

「まとまった金が欲しかった」

 と、供述しているとのことだった。

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