もしよければ感想ください。ただ、ここにあるのは物語の大事な場面を書いたやつの保存用です。

@Haru27

第1話 冒頭

 ——好きになった彼女が、目の前で死んでしまった。


 手を伸ばせば助けられた。足をだせば身代わりにもなれた。


 ——しかし、それをする勇気が、ハルキにはなかった。


 あれだけ守ると誓ったのに、助けてあげると言ってあげたのに、それらは全て口先だけの嘘へと変わっていた。


 彼女の声が聞きたかった。彼女の笑顔が、ハルキにとっての生きる意味だった。


 いつもの声が聞こえない。いつものあの笑顔が見つからない。


 それはハルキにとって、生きていることがただの地獄と変わらなかった。


 ——それから、自殺することを決意した。


 決断は意外にも、あっさりと終了した。死ぬことへの恐怖よりも悲しさが勝ったから、それだけだ。


 縄を用意し、首にかける。足場を用意し、それに上る。


 上を見上げ、目を瞑る。思いを馳せ、決断する。


 足を踏み出し、命が潰える——その瞬間。


 ——白い閃光と共に、ハルキの体は消えていった。

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