2020/11/05『一日』
今日の朝は昨日までと比べまた一段と寒さを増していた。冷気を纏った向かい風に身を震わせながら自転車を走らせ、息も絶え絶え学校へ着く。
朝課外は数学。昨晩熟睡できたからか、珍しく転寝せずに真面目に課外を受けられた。かといって眠気が失せる訳ではないが。
一限も数学。流石に飽きる。最大公約数だの最小公倍数だの小学生以来耳にしなかった単語が飛び交い若干の遅れをとった。
二限は体育。外でサッカー。凍死寸前。ジャージを持参してこなかった己を恨んだ。元より碌に動かぬ身体は寒さに震え上手く機能せず、幾度となくミスをやらかす。ヘイトが溜まるのは当然だが、チームメイトには誠に申し訳なかった。
三限、何だっけ。忘れた。それくらい無味な内容だったのだろう。
四限、また数学。脳死。
弁当はいつも通り美味かった。
毎度の如く持参の小説(読んでいるのは米澤穂信著の『さよなら妖精』)を読み耽っていると、時の流れも忘れ、重たい首を気だるげに上げると視界の奥で時計が予鈴五分前を示していた。
五限、古典。厳しいことで有名な五十路の教師が担当なのだが、睡魔に勝てず終盤少しだけ寝た。まあ、五限だし、仕方ない。
六限、何した? 忘れた。
七限。探究活動とかの一環とか何とかでグループワークとかして意見交換とか発表とかをまあ何とかしてやった。何言ってんだ俺。
清掃のちホームルーム。そして放課。
我々帰宅部の活動はただ一つ、迅速に帰宅すること。自転車飛ばして帰路に着く。
実に濃度の薄い一日。
特筆すべきことは、なにも。
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