第397話 想定外の活躍①
「ストライク! バッターアウト!」
川合の投じた3球目のストレートは、西郷が構えた外角低めから高めに外れるコースだったが、バッターは手が出せないまま見逃しの三振に倒れた。
(まっ、さすがに外角低めドンピシャにはこなかったばいか。それでも、3球連続でストライクに入っただけでも、今までには考えられなかったくらいの進歩たい)
その後も西郷は、ダメ元で配球を続けた。結論から先に言うと、構えたミット付近に球がくるのは3球に1度あるかないかで、とてもじゃないが西郷が望む理想の配球には程遠いものだった。しかしそれでも、毎回ど真ん中に構えても5球に2球くらいしかストライクに入らなかった以前の川合と比べたら驚異的な進歩だった。
「ストライク! バッターアウト!」
「ストライク! バッターアウト! チェンジ!」
川合は続く2番、3番と3者連続三振を奪いこの回を最高の形で終えると……。
123456789
船町北 0000
秋田腕金 0000
続く5回裏の守りでもこの調子で三振を奪い続けた。
「ストライク! バッターアウト!」
「ストライク! バッターアウト!」
「ストライク! バッターアウト! チェンジ!」
123456789
船町北 00000
秋田腕金 00000
先発の比嘉が9人と対戦してわずか1つしか三振を奪えなかった打線から、川合がまさかまさかの6者連続三振を奪うという想定外の活躍に、チームメイト達は驚きを隠せなかった。
(あの比嘉が苦戦していた打線相手に6者連続三振だと?)
(三振もそうだがそれ以上にびっくりなのが)
(あの川合がまだ1度も四球を出していない)
(もしかして今投げているあいつ、川合とそっくりの双子の兄弟とかだったりして)
そんな川合の想定外の活躍もあって、この試合5回を終えて未だに両チームヒット0エラー0のパーフェクトゲームが続く白熱した投手戦が続いていた。
しかし、続く6回表。この試合の均衡を破る想定外の活躍を見せる選手がまた現れることになるのだが、続きは次回のお楽しみに。
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