第395話 元チームメイトは語る②
「どうしてそこまで自信満々なんだ?」
「元チームメイトだからって、贔屓目過ぎじゃね?」
「元チームメイトだからだよ」
「あいつはさ、全国大会みたいな大舞台でこそ真の力を発揮するタイプなんだよ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
川合が中学2年生の時、チームは初の全国大会出場を決めた。しかし、その全国大会の初戦の相手は、優勝候補の強豪校だった。初の全国大会の初戦ということも相まって、チームはガチガチに緊張しており本来の力を出せずにいた。そう、エースアタッカーの川合を除いては……。
「バシッ!!」
「しゃっー!」
チームメイトがミスを繰り返す中、川合はアタックやブロックや強烈なジャンプサーブで優勝候補チーム相手に孤軍奮闘。そんな川合の姿を見て、チームメイト達も徐々に本来の力を取り戻していった。
第1セット 19ー25
第2セット 28ー26
第3セット 26ー28
結局最後は負けてしまったものの、最終セットまでもつれ込む大接戦になったのは川合の活躍があったからだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あの全国大会をきっかけに、あいつは一気に覚醒した。恵まれた体格に頼った荒いプレーが影を潜め、より洗練されたプレーをするようになった」
「そして、翌年の全国大会ではチームを準優勝まで導き、優秀選手にも選ばれた。つまり俺達が言いたいのは、あいつはこういう大舞台をきっかけにして一気に化けるタイプの人間だってこと」
「この試合を見てる国民全員が目の当たりにすることだろうぜ。川合俊二がピッチャーとして覚醒する瞬間をな」
「はっはっは。そんな大げさな」
「バレーでは才能があったからたまたま化けれたかもしんねえけどさ、それが野球でも同じこと起きるなんてそんな都合のいい話が……」
「ストライク!」
川合と元チームメイトの2人が昔話をしている間に投球練習を終えた川合が、先頭バッターに対して投げた初球はど真ん中のストライク。そして、テレビ画面に表示された球速は156キロを記録していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます