15話:ヒロインとの出会い(ルート:裏社会の娘)
ババババババ!ドガァン!
「………」
ガキィン!ギギギギギ…!
「今時こんなものが見られるとは」
いつものトレーニングを終えて隣町から帰る途中、そこでヤクザか何かの組織間の抗争を見かけた。
街中の一般市民は既に避難しており、ここにいる無関係の人間は俺くらいだ。
「オラアアアアア!!」
「往生せぇやあああアアア!!」
大方、この街の縄張り争いってところだろう。裏社会の人間たちがここまで表に出てくるのは珍しいが。
俺からすれば、あんな争いはただガキどもが火遊びしてドンチャンやっているようにしか見えない。脅威など感じない。
しかし他の人らからしてみればそうは思わないもので、俺に切迫した感じの声をかける人が現れる。
「そ、そこの高校生?今ここは抗争地帯になってて!ここにいたら流れ弾とかで死ぬことになるかもしれないから!早くこの街から出て行ってーーー」
赤みがかった黒髪セミロング、切れ長の目、整った鼻梁をした美人顔の、俺と同年代の見た目をした女の子が逃げろと促したその数秒後、彼女の後ろから武器を構えた黒服の男たちが現れる。
「いたぞ!奴らの組んとこのご令嬢だ!あの娘を人質に取ればこっちのもんだ!」
「そうとなればさっさと
おい娘ぇ!その体に弾ぶち込まれたくなきゃそこを動かず大人しくしてろ!てめぇら
銃火器をこちらに構えながら近づいて脅迫する。どうやらこの女の子はそれなりの身分の者らしい。人質にするとか何とか、それでこの抗争を自分らの勝ちにして終わらせるつもりのようだ。
「く……っ」
赤髪女の子はしまったといった様子でじりじりと後ずさりながらも、俺を庇うような姿勢を取っている。無関係の俺を巻き込ませない為だろうか。自分がピンチだというのに何て良い奴なんだ。
男どもは勝利を確信して不敵な笑みを浮かべている。放っておけばこの女の子が酷い目に遭うのは確定だろうな。
理由はどうあれ、彼女が悪人かどうか関係無く、女の子に銃を突きつけようとする奴らは……俺にとっての敵だ。
「よって、お助けさせてもらいます。下がってて」
ずいっと割って入って銃の矢面に立ってやる。
「え、あのちょっと…!?」
「何だあのガキは」
赤髪の女の子が予想外のことに戸惑い、男どもは俺を訝しげに睨む。
「いい年した男どもが、そうやって女の子に銃を構えるのはどうかと思うんだけど。
一度しか言わねー、銃を下げて回れ右して消えてくれ」
2人に指さしながら警告を一度だけしてやる。
しかし俺を見た目で俺が下だと判断した連中は当然その言葉を聞くこともなく、怒りを買う結果となった。
「カッコつけたことしてんじゃねーぞガキが!てめぇこそ今すぐここから消えねーとこいつで蜂の巣にするぞオラァ!!」
「脅しじゃねーぞ。3秒以内に背を向けて去らねーと撃つからな!さんーーー」
うんやっぱりダメか。俺を知らない奴らには警告なんてクソの役にも立たないよなやっぱ。
「お願い、あなたは早くここから逃げて!このままだとあなたが殺される…!私なら大丈夫だからっ」
赤髪の女の子が後ろから俺の手を掴んで下げようとする。俺はその手を優しく解放させて振り切って、さらに前へ出た。
「っ!ダメぇ!!」
「そんなに死にたいなら、往生させたらあああ!!」
女の子の制止の叫びと男どもの怒声が同時に上がり、それを合図に俺は50mを2秒で駆ける速度で男どもとの間合いを詰める。
そして2人に認識されない速度のまま2人の顎を正確に打ち砕いて失神させた。ついでに銃火器も踏み砕いて無効化させておいた。
「へ………?」
今起こった事態が信じられないと言わんばかりに呆然とした様子でいた彼女のもとに戻って声をかける。
「敵らしき2人を締めたんだけど、あれで良かったよね?あと一応殺しはしてないから……大丈夫?」
「えっ?あ、ええ……助かったわ、とても。それよりもあなたは一体ーーー」
「っと、あーごめん。どうやらゆっくり話してる時間は無いみたい」
俺たちの周りからさっきの黒服の奴らが何人も現れた。
「全員敵で良いか?」
「え、ええ。こいつらは私の組と敵対している
全員敵意と殺意を滾らせてこちらに近づいてくる。なら…やることは一つ、制圧だ!
「ごめん。しばらくの間我慢してくれ」
「ひゃ!?」
俺は赤髪の女の子をお姫様抱っこして前を走った。そこに男どもが立ち塞がる。
そこからは、俺のチート無双が発揮されて、現れる敵全てをぶっ飛ばしてやった。
その後は彼女の組の者と合流して(会った直後、四方から武器を向けられてイラっとした)彼女を引き渡して、俺は颯爽と去って帰った。
(鮫村組……裏社会組の親分のご令嬢だったのか。
それにしても凄く美人だったなー。このまま帰ったのはミスだったかな?
名前は……あの組員が言うには【
また会えたら良いなー)
そんなことを思いながら帰る俺であったーーー
「名前………聞いておくの忘れたな…。でもあの制服…確か隣町にある高校の…。
今度絶対にお礼するんだからっ」
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