13話:放課後の教室に響く彼女の言葉
クラスメイトのモブカス3匹を処刑してから2週間後。またしても俺たちの恋愛に牙を向けるクソモブが現れた。
放課後、俺は日直の仕事で、睦月は補習でそれぞれ用事があり、両者ともそれらが終わってから合流して一緒に帰ろうと約束をしていた。
日直の仕事はすぐに終わり、睦月の補習が終わるのを教室で待つこと数十分後のことであった。
睦月の教室から男の大きな声が聞こえたので、そこへ移動して扉を少し開けて中の様子を見てみる。
「だからさ、付き合ってからでも良いじゃん、お互いを知るのはさ!」
「私はもうら付き合っている人がいるんです!」
………何やら、睦月があの茶髪男子に言い寄られているみたいだな。ニヤニヤした面して睦月に付き合おうと言ってやがる。
「え、そうなの?でも関係無いよ、絶対俺の方が良いって。大した男じゃないでしょどうせ」
「そんなことありません!秀征さんは優しくて楽しくて、一緒にいたいって思わせてくれる素敵な人です!」
睦月は顔をやや険しくさせて俺のことをそんなふうに評価してくれた。自分が少し誇らしくなった。
しかし茶髪のモブカスはまだしつこく睦月に迫っている。
「しゅうせいって…もしかしてアレが君の今の彼氏?
いやいやいやwアレはナイでしょ!?大したルックスでもないし、何かで凄い成績出してる奴でもなさそーだし。
そんな奴よりも俺の方が絶対良いって!
俺さ、ボクシング部でこないだ新人戦で優勝したんだよね。だからステータスも腕っぷしにも自信があってーーー」
「いい加減にして下さい!!さっきから……感じ悪いです!」
そろそろ俺が制裁(殺し)しに入ろうかとした時、睦月が怒声を上げた。
「は…いきなり何だよ?」
「さっきから…私の言うことを無視して自分勝手なことばかり言って…!あの人の何も知らないくせに貶してばかり…。
自分の要求ばかり押し付けて人のことを悪く言うあなたよりも、今の彼氏の秀征君の方がよっぽど男らしくて魅力的です!」
「う、うるせぇ!」
「大体、私とあなたとは今日会ったばかりなのに、いきなり付き合おうっておかしいと思わないのですか!?」
「うるせぇって言ってんだよ!!」
これ以上は傍観していられないな。あのモブカス野郎、逆ギレして何しでかすか分かったもんじゃない。
茶髪のモブカスが机を叩くと同時に俺は扉を勢いよく開けて、睦月を守るように前に立つ。
「な、何だよ…誰だよお前」
「俺の彼女に何言い寄ってんだよ。しかも怒鳴りながら…このうんこ色頭が」
全身から殺気を放ってモブカスを牽制する。先程の怒りが萎れた様子のモブカスは止めだと言いながら俺たちから離れる。
「うっざ…ちょっとからかっただけだっての。冗談だよ冗談。
もういいよ。どうせそこの女も噂ほど可愛くもないし…。アホくさ。
その女のどこが良いのやらーーー」
「どこへ行くんだ?俺の用はまだ終わってねーんだよ、このクズが」
この期に及んで人を…彼女を貶す発言をこぼしながら退出しようとするモブカスの後ろ襟を掴んで止める。
「ぐぇ!?テメェ……何しやがる!!」
モブカスが振り向き様に右ストレートを放つが難なく手で止めてその拳を握りしめる。
ぐあっと痛みに叫ぶモブカスを背に、睦月に声をかける。
「睦月、さっきの言葉…嬉しかったよ。
それはそうと…俺今からちょっと用ができたからそれ片してくるよ。睦月は今からゆ〜〜っくり校門まで歩いて、そこで少し待ってて欲しい」
「は、はい…。待ってます、秀征君」
「うん。それじゃまた後で」
睦月にそう言った後、俺はモブカスの拳を握ったままそいつを引きずりながら教室を出て高速移動で目的地へ向かった。
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