wandering:『XVI』-迷子の歯車-

スノウ、身体17。中身19。

只今その辺放浪中。

違法で気に食わない施設を見つければさりげなく入社し、さりげなくメチャメチャにしてさりげなく逃亡していた彼女はあちこちを転々としていた。


「……うーん……次はこっちに進まないと、見つかっても嫌だし、戻ってもなんかなぁ……」


学びながらも放浪し続けているうちに口調もかなり昔よりだらけている。

ふと近くの湖を通ると、自分の姿が映る。


ボサボサになった長い髪に、脱走の際に冷やして粉々にして割り壊した首輪の跡が痛々しかった。


「…見つかるのもやだし、なんとかするか。

変幻の魔術とかなかったかな。たしか…」


適当なところに座り、ハサミと魔術本をリュックから取り出す。




しばらくして…


「…これで、いいかな。うん、良いじゃん、雑で。サイコー。」


かなりボサボサで伸びきった髪の毛先を腰まで雑に切り整え、髪色まで魔術により暗い紺色の髪に変えた。

首の傷跡はとりあえず見えないように包帯で隠す。

そして、また雑に結ぶ。


「さーて‥…次の目標はぁ……」


彼女は取り出した地図を指でなぞりながら一つの所に向かう。


行き先は、滄劉だった。



_________ その一週間。


「・・・・・・死ぬ。」


スノウはひたすら歩き続け、滄劉についたものの、森の中で迷ってしまい、同じところをぐるぐると回っているうちに体力が限界を迎えてきていた。


容姿もボロボロで土で汚れてかすり傷もあり、お腹が空いてもう歩くのも疲れていた。


「……あー…ここまでかぁ…くそやろ…あー…」


なんとなく過去に助け出したうる覚えの人達を思い出す。


「元気…だといいな…」


薄れゆく意識の中、幼い子供の歌が聞こえてきたが、途中からわからなかった。


(マスター、人が落ちてました!!)


(なんだ、落とし物みたいにいうなよ?!急患じゃないか!!すぐ治療をする、ボロボロだしなんとかしてやろう、マリア、準備!!)


(はい!!)

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