replay:『XIV』-故障-

スノウ、消息不明。

予測された現在の年齢、15歳。

もうすぐ16の誕生日を迎える。

しかし、彼女は見つかることはなかった………。








そして、探されている彼女は_________



「ごめんね…ごめんね……!!」

「……。」


スノウの現在の仕事。

研究に使用された実験体達を監視し、そして、手当てをすること。


そしていま、また実験体として扱われた被験体を泣きながら手当てをしていた。



「被験体のトルエノは治したか。」


「っ、アグニオスさん…。

おわり、ましたけど、少し彼女は今日は休ませてください!!!

でないと、」


「逆らうのかな。」


アグニオスと呼ばれた男の隣には、スノウをここに連れた男。


「でも……、現在この検体は非常に体力を消耗しています。

もし今後の計画にて必要ならば、もう少し使えるようになった方が新たな可能性を見出せるかと。」


裾を握り、あくまでもここでの研究者として答える。

手には汗が染み出してきもち悪い。

でも、これ以上今日は見ていられない。



「それもそうですねぇ…そうしましょうか。」



スノウは沢山の悲鳴や血を見ているうちにあまりに苦しくなり、この日はじめて抵抗をした。


「ただ…………、」

「っ……!!!」


スノウは自身の首輪に手を当てる。

首輪が焼けるように痛いのは彼の施した魔法石のせいだろう。


「次、またそうやって抵抗するたびに、守ろうとするたびに、自分も危機的な状況に陥るということ、忘れないように。」


「……すみ、ません。」


スノウが膝をつき、苦しがるのを楽しそうに見てから2人は出ていく。


「…………ごめんなさい。わたしには……これしか、できないから……。」


(泣きながらまた治療をし始めた)


(あれからしばらく経った彼女はこうして涙を流し続け、我慢はもう限界に近くなっていた)

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