苦手なタイプin花見@今時映画にも出てこないタイプの男

 今日は年に一度の社員総出の花見だ。

 花見と言っても藤の花なので周囲は落ち着いているし、小さな会社なので参加者は限られている。

 つまり、普段いつもの面々による花見という名の飲み会だ。

 …が、今年は例年とは違う。

 なぜなら…


「嗚呼、君は今日綺麗だね」


「う…」


 私は眼を見て『綺麗』と言われたくらいでドキッと自分が嫌になった。

 今年はこの人がいる…

 中途採用されたばかりの上司は恥ずかしくなるくらいにキザな人だった。


「それセクハラです」


「すまないね。しかし僕は綺麗なものを視たらそうと言わずにはいられない性質たちでね。つまり君は綺麗だ。この藤の花も君に嫉妬しているよ」


「う…」


 どうしてこの人は真顔でこんな台詞が言えるのだろうか…言われる私の身にもなって欲しい。


「あの…恥ずかしいのでやめてくれません?」


「ふっ、照れた表情かおも素敵だよ」


「なっ…!?」


 話を聞け!

 思わずそう叫びたくなった。


 私はこの人がだ。

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