冬と蜜柑とアイスと女@論争の答えは…

蜜柑みかん!」


「アイス!」


 冬の醍醐味とは?

炬燵こたつに入って蜜柑を食べる』

『炬燵に入ってアイスを食べる』

 教室内はこの二つの意見に分かれ大論争を繰り広げていた。


(どっちでもいーじゃん。つかどっちもだし)


 女は論争に対して冷ややかながらも既に『どっちも正義』という結論こたえを見出だしていたが、決してそれを言葉くちにはしなかった。

 そして…


「あとはお前らだけだぞ」


 論争の末にクラス総出の投票が行われ、未投票なのは女ともう一人の男のみとなっていた。


「俺は……蜜柑が好きだ」


「っ…!?」


 男は周囲に気付かれない様に女の方へ視線を送った後で答えた。これにより蜜柑派が二票差をつけ、女が答えるまでもなく論争は終わった。

 だが、女の心の中では新たな論争が始まっていた。何故なら女の名はまさしく『蜜柑』であり、答えた男は女の意中の人だったからである。


(い、今の視線はなんなの!?もしかして…いやでもまさか……)


 女の論争は始まったばかりだ。

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