画面の向こう@見知らぬあなたへ

 あなたは誰かはわからない。

 あなたがどんな人かは知らない。

 それでも、こうして同じに生まれ、いまを共に過ごしている。


 いまという悠久えいえんの中で共に過ごしている。

 それは、奇跡なんていう言葉では足りない。

 それは、偶然なんていう言葉では濁せない。

 それは、繰り返されるいまだけが生み出した結び付き。


 長くてもたった100年…

 たった3153600000秒…

 それが人の生命いのちの全て。

 その短く長い人生の中で、どんなかたちであっても、どんな想いを抱いたとしても、こうしてこのんでくれている。


 3153600000秒という生命いのちの一部をこの言葉、この文章を読むことに使ってくれている。

 きっと会うことはないだろう。

 きっと顔を視ることもないだろう。

 きっと声を聴くこともないだろう。

 きっとあなたを知ることはないだろう。

 それでも、俺はこれだけは伝えたい。


「ありがとう」


 精一杯の感謝を込めた五文字の言葉をあなたへ伝えたい。

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