第110話
「それで、ウリアはサドラン帝国に作ったダンジョンが潰されたことに関する詳細は知ってる?
あそこにいたジョンくんと魔王キノコはどうなったの?」
アリアとニアがドコドコ殴り合っている音をBGMに、ウリアは知っていることを話し始めた。
「エルルの作戦は魔女とか呼ばれる存在に潰された」
「魔女…?ああ、なんか魔法が使える体質の人をそう言うんだってね。確かユーリ君のお母さんが魔女だとか聞いたことある気がする。あとは美人で有名なリリサさんもそうだとか。文字通りの意味で、美魔女だね」
「その魔女の魔法でダンジョンは全域を焼かれてダンジョン内の魔王キノコは根ごと全焼。ジョンくんだけ無事に帰ってきたみたい」
「はい?
え?まじ?魔王キノコ死んじゃったの!?ていうか、ちらほら進捗報告を受けてはいたけど、かなりの面積を掘り進めてたはず…そんな広範囲を焼ける魔法を使えるものなのかな?ジョンくんは何処に?もっと詳しく聞きたいんだけど…」
「…もっと詳しい報告はジョンくんから聞くといい。とは言えダンジョンを守れなかったが故に合わせる顔がないと、紙に書いた報告書を預かっている」
大規模な遊園地くらいの面積はゆうに超えていた範囲を全部焼き尽くすって、地球で例えるなら個人でミサイル以上の攻撃力を有するってことになるんじゃないか?
人類の戦闘力が思っていた以上のさらに上を超えてきた。
「人間を舐めてはいけない。ってことか」
魔王クリエイターは神らしき存在から貰った
いや、僕が扱い切れていないだけ…リアちゃんが言うように、中途半端に魔王を扱っていたからと言う部分が大きいだろう。
そう、だな。
よし。
リアちゃんの言う通り、割り切ろう。
なりふり構わず、割り切って一気に済ませてしまおう。
余裕ぶってはいられない。
報告書によると他者の魔力の違いを感じ取り、追跡することも可能かもしれないとある。
下手したらこの場所もバレ、芋づる式に黒幕たる僕に辿り着く可能性だって…ある。
創り出した魔王達への気遣いも忘れずに、全身全霊を持って攻め込もう。
まずは…サドラン帝国だ。
「ウリア、ダンジョン内にいる魔王達でサドラン帝国に攻め込むことに決めたよ」
「へぇ。ということは…」
「ドーラを出す」
ダンジョンを創り始めて一年。
その間に創った魔王達の中で最強の魔王であるドーラと、それを補助する魔王達。
それら全ての戦力でもってサドラン帝国に攻め込む。
魔王キノコの敵討ち…と言うには人を殺していたくせに何を言ってるんだと、些か無理があるがその辺の道理は気にしない。
気にしていられない。
申し訳ないが恨むならば僕にこんな使命を与えた神らしき声の主を恨んでくれ。
8699年9月23日、曇天の日。
サドラン帝国は…いや、人類は明確に認識した。
人のみを狙い、襲いかかる生き物達を。
人それを魔王、と呼んだ。
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