第77話 魔王図鑑Ⅳ

前書き 

感想欄で意外と人気な芝犬もどき。

申し訳ないのですが、彼女が生きていると後々のストーリーに困っちゃうことがあったので、彼女がやられてしまうのは決まってました。

ごめんなさい。

あと、今更ながら今年もよろしくお願い致します。

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以下本編↓


名前 異形のヒト

生物強度 93

スキル 骨格補助 矯正外骨格 鉄針仮面 魔眼ミキサー 超進化


解説

異形の芝犬もどきの状態から超進化スキルによる成長を続けて美女の姿へと変わった魔王種。

スキル構成は変わらないながら、超進化スキルによる補正によって芝犬もどき時代の81から93へと生物強度が著しく上がっており、魔王エルルちゃんの97に届く勢いである。

人型になった後は骨系スキルで体内の骨組織を強化、アニーとの再戦時には皮下に鱗状に変化した骨を纏っており、さらには鉄針仮面が頭蓋骨に刺さり、しっかり固定、保護していたために急所である頭部はより強力に守られている。

攻守ともにかなり強力な魔王種へと成長していた。

ただ、最終的にはアニーとの戦いで極端に弱っていたところをガイによって殴殺された。


作者の想定よりも人気があったようで、感想欄で死なせないでほしいというコメントが多く、考えていたプロットを変更するか本気で考えさせられたが…様々な理由から予定通り退場してもらうことに。

あと感想の中に鋭いご指摘があったりもしました。

要約すると、芝犬もどき(異形のヒト)がこのまま成長したら芝犬もどきの量産をすれば良くなってしまうのではと言う趣旨の感想です。

確かにそのご指摘はもっとも。

もう全部あいつ1人でいいんじゃないかな?状態になってしまうと読者はもちろん、書く側もつまらなくなるわけで…


ご安心ください。

超進化スキルにも縛りというか、限度はあります。

超進化スキルは進化を効率よく、世代交代などを必要としないで超加速させるものなので、元の生き物からあまりに極端に変化したり強くなりすぎることはないと言う設定になります。

ぶっちゃけ姿形の変化や出来ることが増えたとしても異形のヒトの単純な身体能力的強さで言えば今がほぼ限界値でした。

捕食による遺伝子情報や兵器の読み取りにも限界は存在し、聖剣は複雑すぎて不可能という設定です。

魔王クリエイターの設定の一つに対象の持つ生き物の性質からかけ離れたスキル付与はできない(厳密にはあまりに必要容量が多くなるために付与できない)というものがあるため、超進化スキルもかけ離れた存在まで押し上げるようなスキルではない前提の、それ相応の能力となっています。


名前 聖女肉塊

生物強度 2

スキル  聖女転生 巨大化

解説

名前だけチラッと出た魔王種。

死体を材料に創られた人造生命なので元になった生き物は存在しない。

生き残った子供たちを見過ごすのは忍びないが、いちいち聖女や聖女見習い達を作るのは面倒で、生み出した聖女や聖女見習い達を自動で増やせないかと言う軽い気持ちで創られた魔王種。

何度も言うように人類を間引きするために創った生き物を魔王と呼んでいるので、厳密には魔王とは言えない。

ただ見た目は1番魔王っぽい、と言うか人類の敵感、分かり合えない感が強い。

巨大な赤黒い肉塊に不釣り合いに小さな目玉がぽつんと一つだけついている姿形をしている。

なぜそんな見た目になったかと言うと巨大な肉塊になって次から次へと産み出す魔王ゾンビを見て「あんな感じで聖女を産み出す肉塊を創ろう」と考えて特に深く考えないまま創ったからである。

創ってる最中に流石に脈打つ肉の塊そのものな見た目はどうかと思って目玉を付けてみた結果、小さな人間サイズの目玉がギョロギョロ動いている。


創造に至る経緯は、魔王達が頑張れば頑張るほど魔王に親を殺された孤児が増えるため、その面倒を見させる聖女をいちいち生み出すのが面倒になったエルルが創ったため。

そうした理由から産まれた自動聖女生産器だが、その見た目と聖女をつくるための死体などの材料が都度必要だったりと使い勝手の悪さでエルルの受けは悪い。

見た目通り脚を持たず、動けないために材料を自分で取ったりもできない、完全な失敗作であった。

あくまで聖女生産器として創られているので考えるための脳みたいな器官もなく、ただただ弱い。

脳がないため、ギョロギョロ動く目玉に入り込む景色の情報を認知することも出来ず、結果的に見えない目玉はただの飾り。

ギョロギョロ動いているのも血管が脈打つように、目玉周りの筋肉の動きに合わせて自然と動いているだけで、何かを見ようとしてのことではない。ないが、視点を定めずにギョロギョロ動く目玉は非常に不気味である。


人間の死体などの体を作るための材料を体表から取り込んで、聖女転生スキルによって事前に設定したスキルや見た目の聖女見習いを材料がある限り生み出し続けることができるのだが、そうした自然の摂理に反した通常生物とかけ離れた形の生物創造のスキルは非常に容量を食うために、自衛手段となるスキルもなし。

本当にただのグロテスクな肉の塊にぽつんと目玉を付けたってだけの存在である。

扱いにくさと中途半端ゆえに、創った場所に放置されたままの非常に可哀想な現状であるが、聖女を作り出すために創り出された肉の塊なので意思の類いは無い。

エルルからの雑な扱いに特に何かを思うことはないようだ。

色々と雑な仕上がりの魔王種である。

いずれ日の目を見ることもある、かも知れない。



名前 魔王ミイデラゴミムシ

生物強度 62

スキル  俊敏 超寿命 超外骨格 超魔力皮膜 膂力増強 巨大化 食性変化 一代全霊 魔力カノン


解説

異世界産ミイデラゴミムシを元に産み出された魔王種。

魔王ゾウムシの上位互換的立ち位置のスキル構成。

本来ならばそう簡単に死ぬはずがないくらいには高スペックな魔王だったが、登場してすぐにやられてしまった。

倒されるまでの最短時間更新者となっている。

決して弱いわけではなかったはずなのだが、相手が悪かった。

元の生物であるミイデラゴミムシの特徴でもある尻から発射されるガス噴射は瞬間的に100度まで達すると言われ、さらには悪臭も伴って天敵を追い払ったり、丸呑みにされた後から噴射して胃の内壁にダメージを与えて吐き出させることで身を守る。

手に付着すると皮膚のタンパク質と科学変化を起こして茶色く変色する。

他の昆虫に比べて頑丈らしく、カエルに丸呑みにされて2日くらい経ったあとでも生きていた事例があるらしい。

胃液まみれになれば硬い体で消化を防いだとしても、窒息死するはずなのだが…具体的なメカニズムは分かってないみたい。

筆者が見たサイトには「特別頑丈なのだろう」とフワッとした理由しか書かれてませんでした。

また、ガスを噴射する尻先にある噴射口はかなり自由に動かせるらしく、腹を高く持ち上げることも出来るために尻先から出すにもかかわらず射角が広い。

そんな色々と凄い昆虫が魔王化された後の放屁は生物強度補正、大型化アンド魔力カノンスキルで格段に強化されており、後先考えない最大出力の放屁の最大瞬間温度は3000度。普通の人が食らえば瞬間、湯だって死亡する。

死亡しなくても強化された悪臭によって頭痛や涙や鼻水や咳といった重度の花粉症のような症状を引き起こす。

とはいえ元々ガス噴射は敵を追い払うために使うものであり、攻撃、すなわち放屁で獲物を仕留めて餌を取る、という使い方をするものではないのでエルルの付与するスキルの選択ミスもあって倒された部分もあるやもしれない。

以下余談。

ミイデラゴミムシのように放屁という形ではないがゴミムシ類は革製品に近い悪臭を出す。

ペットのオヤツとしてホームセンターに売られているミルワームなどはゴミムシの仲間なので、成虫は刺激を与えると悪臭を出す。

個人的にはカメムシよりは全然臭くないけれど、まあ天敵が口に入れた時にこの匂いを出されたら吐き出すだろうな、ぐらいには臭い。

そしてミルワームは雑食だが、ミイデラゴミムシの幼虫は童謡にも出てくる鳴き虫の一種であるケラの卵を餌にするため、ケラのいるような環境下付近でよく見られるという。

ちなみにケラは地中で鳴くため、昔はミミズが鳴いていると言われていたそうな。

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