詩集「空っぽ」
雪野蜜柑
多様化された僕の中の俺と私
『やぁ』「おう」
『どうしたの?』「お前こそ」
『いい夜だね』「そうだな」
『とても美しい月だ』「呑まれそうなぐらい暗くて落ち着くな」
『うん、やっぱり合わないね』「当たり前だろ」
『それもそうか』「そりゃな」
『彼をどう思う?』「いつもと同じさ」
『彼とは上手くやれそうだよね』「どうせいつか離れるさ」
『とてもいい子そうだ』「ああいうやつは裏があるのさ」
『彼女とはまだ上手くやれてるね』「いつまで持つか見物だな」
『とても大切だ』「心底どうでもいいね」
『絶対離れたくない』「いつか消える」
『悲観的だね』「楽観的だな」
『雨が降ったね』「雨が降ったな」
『雨音は落ち着くな』「鬱屈として最高だ」
『夜の雨は穏やかでいいものだよね』「夜の雨は暗く深く沈んでいるようでいいよな」
『そんな雨が好きなんだ』「雨が好きな自分が好きなのさ」
『僕は自分が好きなんだ』「俺は自分が嫌いだ」
『こんなに幸せなんだもの』「クソみてぇな人間だ」
『幸せを続けるために頑張ってる』「いつか1人で果てる運命なのさ」
『君も頑固だねぇ』「そのまま返してやるよ」
『だけど君も』「知ってるよ」
『そっか』「お前もだろ」
『うん』「バカみてぇに」
『「自分なんだよな」』
『そろそろかな?』「もうねぇといいがな」
『また話せたらいいね』「孤独でいたいんだよ」
『じゃあまたね』「じゃあな」
『黒の僕』「白の俺」
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