2章 かくはん

9. 例えば

 例えば、病院で処方される薬は、専門家の厳重な研究と判断、それに基づく取り決めの上に成り立っている。だからこそ人間に有益に働くが、広い意味で言えばそれも「毒」である事には間違い無い。多くの人々はその事を「十分に心得ている」と言い張るが、果たしてそれは本当なのだろうか。

 僕ならば、その点は抜かり無い。完全に大丈夫だと言い切れる。「毒」は名前を変え姿を変え、様々な形で人々の隣に潜んでいる事を知っているからだ。だからこそ、こうして数多くある毒の内の一つを操る事が出来るのだ。ただ、完全にその力を引き出すには、その標的は少し賢すぎる。それでも、しっぺ返しを食らわせてやる事ぐらいは、朝飯前だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る