07●カクヨムの神様へ。もうラノベはオール電子でどう?
07●カクヨムの神様へ。もうラノベはオール電子でどう?
〈BGM:次回予告F-2〉
時に、地獄の二十一世紀。
終わることなき出版不況。
20年前に比べて、半減したマーケット。
去り行く読者、苦悶する出版社。
いまや廃墟と化した書店街をさまよう、ラノベ作家の亡霊たち。
襲い来る死徒に立ち向かう希望の星を志して、
コンテストを突破した新人は専業作家を決意するが、家族は猛反対する。
父親から逃げる新人。
ミサトの傲慢は、彼を自分が救うと決意させる。
次回、見知らぬ、天丼。
この次もサービス、サービスぅ!
まあ、そのような次第で。
そういえば、小さな出版社、次々と消えた時期がありましたっけ。
いやきっと、大手の出版社さんも、今はド真剣に生き残り策を考えておられることでしょう。
あと十年もして、マーケットがさらに二割三割と減ってしまえば、大手さんといえども、どこか一社くらいは存亡の危機を迎える恐れがあるのでは。
私たちサイト参加者も、首尾よくコンテストでデビューできても、十年先があるかどうかわからないのです。
天空の城が瓦解するように、いつバルスの日が来てもおかしくありません。
なんということか……
しかしここへきて、救いの女神さまが、ご爆誕!?
右肩下がりを続けて来た出版市場が、昨年あたりで下げ止まったのです。
グラフを見る限り、崩壊をぎりぎりで食い止めた感があります。
出版部数的には1960~70年代の水準まで後退し、このままでは終戦直後の闇市状態まで落ちていくかと思いきや、救世主の
紙の本が総崩れになる中、失われたマーケットを、電子出版がかろうじて穴埋めしてくれたのです。
その中身でずばぬけて大きく、八割を占めるのが、電子コミック。
紙のコミック雑誌(単行本でなく雑誌の方)は超特急で衰退し、金額ベースでピークだった1995年に比べて、20年あまりでなんと四分の一以下に落ちました。
紙の漫画雑誌は、ガラケーどころかガラコミックと言うべき存在になってしまったのです。
今買っておくと、将来、鑑定団に出せる貴重な古文書になるかもしれませんね。
嗚呼、昔々、“少年○○”の発行を毎週楽しみにして書店に走った、いたいけな子供たちの姿はいずこへ……
代わりに伸びたのが電子コミック。
単行本も含めた売り上げは、2019年現在で、紙のコミック(雑誌と単行本)を抜き去ったということです。つまり、コミックに関しては、紙<電子。
これは歴史的快挙だ!
マンガの世界は、今や電子媒体が主役なのです。
なるほどわかります。私も実感します。
パソコン画面で読むマンガの綺麗なこと。
特にカラーページは原画に限りなく近く、ながめて惚れ惚れですね。
電子コミックを読むと、もう、あのザラザラペーパーの雑誌には戻れません。
いや単行本ですら、色褪せて見えます。
そうなると、文字媒体も同様でして……
例えば十年ほど前までは、私はまだ、本の世界は紙がいいと思っていました。
あの手触りと高級感。ページを繰るだけで文化に触れているという高揚感。
しかし十年たった今は、思想が逆転です。
なにか知りたいとき、電子の画面。
ニュースも教養も、電子の画面。
そもそもこうやって文章を書くとき、電子の画面。
読むのも書くのも、パソコンの画面に慣れ切ってしまいました。
本を探します、ちょっと昔の文庫本。
たとえばママゾン(仮称)のブックストアとか。
さすがママゾン、ラノベがズラッ。
居並ぶ表紙から、目当ての本をクリック。あらすじや書評などチェックします。
ここで引っかかるのは、“立ち読み”が可能かどうか。
ダメだったら「ちぇっ、ママ損」と舌打ちします。
だってリアルの書店では、たいてい誰でも立ち読みしてから買いますよ。
これ必須。
で、幸いに“試し読み”機能があったら、読みますよね。
この時すでに、違和感がありません。
パソコンの電子画面で、縦書きの活字の小説を読むことに、十年前は変な感じがあったものの、今では全然問題なくて、すらすら読めます。
リアル紙製の本よりも、むしろ読みやすいのです。速読できる。
それに紙の本、とくにハードカバーは重くてかさばるし、文庫でもいざ読もうと思ったらぎっしり詰まった本棚のどこかに埋もれていて、探すのに苦労したり……
確実に、電子本の方が便利です。
で、試し読みしたら、たいてい、いいところでお話が切れまして、この先は実物をお買い求め下さい、となりますね。
このとき、思うのです。
「200円払うから、この先も読ませてくれないかなア。二週間ほどでいいから」
そうなのです。
読みたいときは、すぐに続きが読みたい。
それも電子版でいい。重たい紙の本は、もういらん。
それに、一生ずーっと読めなくていい。ここ二週間ほど読めればいい。
学習参考書やノウハウ本や宗教書じゃなくて、ライトノベルなんだから。
それなら図書館で借りればいいとなりますが、図書館にない場合も、実は多いのです。ナントカ大賞を取って大ヒットした本でもなければ、新人作家の何年か前のラノベなんか、図書館でも買っていないのです。
あっても、借りる人がいなかったら廃棄されます。むごたらしいまでに。
私の近所の図書館、SFの老舗マガジンすら、あ、ミステリの老舗マガジンもそうですが、購入してないんですよ。ナントカ大賞の本は何冊も買うというのに。
それならコンドルだかトンドルだかシンドルとか、そんな名前の電子本を購入すれば……
といってもめんどくさいのである。なんか、アプリとか、ダウンロードとか。
購入しなくていい、今すぐ、試し読みの延長で、そしてお賽銭に毛が生えた程度の金額で、二週間ほど電子的に“貸本”してくんないかねえ。
……と、ワガママな読者になってしまいます、スミマセン。
ええそうです。私の中で、紙の本は、ほとんど死に絶えつつあるのです。
なるほど、本屋さんに行かなくなったよなあ。
そうなんですよ。
かりに時間と体力を使って本屋さんに行っても、そこには最新の本しかない。
目当ての本があるかどうか、行ってみなければわからない。
もうひとつ困惑する要素は、昨今のコロナ禍。
マスクして本探しも、なかなかうっとおしいものです。
リアルペーパーの本、立ち読みしますよね。
誰の指紋がついているのかわからない表紙や背。
コロナ禍の今、触るのに抵抗がないとは言えません。
書店、たぶん売り上げに響いているのでは……
このような環境、このような読者心理の中で、コンテストを通ってデビューするラッキーなルーキー作家さんがリアルペーパーの本を出されても、それは……
なんだか、お先真っ暗ではないだろうか?
紙の本、たぶん、これからしばらくは減っていくだけなんだから。
ラノベなんか、図書館でも見向きもしないんだから。
ここで結論的に思いますのは……
ラノベに関しては、もう最初から最後まで、電子だけでいいんじゃないの?
オール電子で。
さらに次章へ続きます。
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